「文政権」の頭痛のタネ…中国車に敗北「韓国GM」、それでも労組はストへ
直近3年間の工場稼働率が20%にも満たない工場は閉鎖したが
特に韓国GMの場合、単純に車の販売不振というだけでなく、各国市場からのシボレーブランド撤退によって、将来にわたっての販路自体が閉ざされつつある状況であるので、事は重大である。
巨額の赤字に苦しんでいた韓国GMは2018年2月、群山工場(生産能力:26万台/年)の閉鎖を発表した。
直近3年間の工場稼働率が20%にも満たないためだ。一方同じ頃、韓国GMの労働組合は賃上げを求めて頻繁にストを行っていた。
やがて韓国GMの再建策について、米国GM、韓国政府、産業銀行の3者協議が始まった。
韓国GMは再建案提示のために労使交渉妥結を急ぐ必要があったが、労組は協力するどころか、交渉の過程で一部組合員が社長室を占拠し、机などを破壊する暴挙に出た。
この状況に米国GMは、全役員および社員の韓国出張を禁止するとともに、労使交渉が妥結できないのであれば法定管理(日本の会社更生法に相当)の申請を行うことを表明した。
その後、劇的に労使交渉の暫定合意がなされ、同年5月には韓国政府と米国GMは韓国GMの経営再建で合意に至った。
米国GMと韓国政府が合わせて71億5000万ドル(約7800億円)を韓国GMに資金支援する他、米国GMは戦略車種2車種の生産を韓国GMに割り当てる……などの取り決めがされ一件落着を見たのだ。
ようやく韓国GMの復活に一歩近づくのではないかという矢先に
2020年1月にデビューしたGMの新型SUVであるシボレー・トラックスと兄弟車であるビュイック・アンコール。
これは、米国GMが合意した「戦略車種2車種の生産を韓国GMに割り当てる」という経営再建案に基づき、韓国で生産されている。
同車は現在、北米市場において好調な販売を見せており、韓国GMの生産台数も高い伸びを示している。
また2023年には、2車種目の戦略車種となる新型CUV(クロスオーバーユーティリティビークル)の生産開始が控えており、この生産準備も順調に進んでいる。
今年は久しぶりによい業績を上げ、ようやく韓国GMの復活に一歩近づくのではないか。
誰もがそう思った時、突然復活の道に立ちはだかったものがいた。
去る9月2日、経営側との団体交渉が決裂した韓国GM労働組合は、争議行為決議投票(スト実施可否の投票)を行いこれが可決された旨を発表した。
あとは所定の労働争議調停申請を行えば、彼らは合法的にストを行うことができるようになるのだ。
今後、彼らが実際にストに突入するかどうかを注意深く見守る必要がある。
が、韓国内のマスコミ及びネチズンは、破綻寸前までいった企業がようやく上向きかけてきた時になぜ賃上げを声高に叫ぶだけではなく、このような行為に出るのかと疑問を呈している状況である。
[2/3ページ]