ずん飯尾、遅れてきたブレイクを語る 「周囲に甘えて生きてるだけでして…」

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 芸人の世界で「ブレイク中」なんて言ったら、20代、30代が主流だが、お笑いコンビ「ずん」のボケ担当・飯尾和樹は芸歴29年の51歳。

 目下、TBS系ドラマ「私の家政夫ナギサさん」のほか、大手食品会社の明治、BOAT RACE振興会、総務省のCMに出演するなど引っ張りだこだ。お笑い評論家のラリー遠田氏は人気の理由をこう見る。

「芸人は“少しでも目立とう”“1秒でも長くテレビに映ろう”と考えるのに、飯尾さんは常にそこから一歩引いて、センスが光る一言をボソッと口にする。他人を傷つけたり押しのけたりしない、謙虚なスタイルがウケている」

 多忙を極める売れっ子の日常を本人に尋ねると、

「エッ、いや、まぁ……、昨日は8時間寝ました」

 と、正直な(?)返事。

「バラエティ番組にゲスト出演できてるのは、キャイ~ンやネプチューンといった同期を含めた芸人たちが、彼らの冠番組に呼んでくれるから。新築された豪邸に誘われて、土産を持って遊びに行くみたいな感じです。ドラマの方は、撮影現場が“へぇ~、こんなふうに撮るんだ”って、社会科見学みたいで……」

 ひたすらありがたいことです、としみじみ。

「かつてADだった人がプロデューサーやディレクターに昇進して“飯尾さん、また一緒に仕事しよう”って誘ってくれることもあります。オレって、基本的に他力本願、周囲に甘えて生きてるだけでして」

 原点は、かつて出演した番組での体験にあるという。

「人物を花にたとえる“花占い”を受けたら、共演したキャイ~ンのウド(鈴木)はヒマワリだったのに、俺はナンとススキ。花じゃないでしょって言ったら“お月見はススキがあるから風情が出るんだ”って。俺は中心で輝く人がいてこそなんだなぁって、今になって妙に納得させられてます」

 脱力系とか癒やし系とも呼ばれるが、

「30代後半の頃、平日の昼間からヒマで、自宅でゴロゴロ寝てて思いついたことがあるんです。“あ~あ~、口を開けたらA5ランクの和牛が降って来ないかなぁ”とか“親父がトム・クルーズだったらなぁ”とか。われながらホント、どうしようもないです」

 目標は自身の冠番組?

「お笑い番組はやってみたい。でも、一人で責任を負うって大変なので、豪邸じゃなくて“平屋”くらいがちょうどいいんですが」

週刊新潮 2020年9月3日号掲載

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