シリコンバレーにはない価値がここにある
「波」編集部から送られてきた本書のゲラは、クリップ止めされたA4判の束だった。前書きや著者紹介もなく、いきなり本文から始まっている。誰が書いた何の本だったか、執筆をお受けした後にいろいろ別の仕事があった関係で、まったく覚えていない。ここまで先入観や予備知識がないままに本を読むのは、子ども時代以来ではなかったろうか。だが紙をめくるごとに集中力は高まり、文字通り一気に読了した。
そんな本書は、日本に80年ぶりに登場したという国産時計メーカーの、若き創業者のビジネス戦記である。...