“岡田健史の夏”を締めくくるドラマ「いとしのニーナ」最終回の見どころ

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望月歩と笠松将は、今後成長株と言える実力派俳優

「示談になったからといって被害女性が忘れるワケないだろ! バカか! レイプ被害者はいろいろと聞かれるんだよ、ことこまかに」

「闘う・闘わない、被害者がどっちを選んだかにしても、とりあえずレイプ犯はチンコ切るに一票!」

「あとから聞かれてまた傷つくのが怖くて、闘えない子たちの気持ちもわかる。わかっているが、なぜ闘わないの? と。こぶしを握り締めて震えがくるほどに許せないのよ! だってあいつらはのさばるよ!」

 ニーナの抱えた恐怖と絶望、山田が訴える徹底した断罪(個人的には山田に一票!)。

 それを聞いたアッツは「ひとつの被害を防いでも次の犠牲者を生むだけなのか」と自問する。がニーナと付き合って浮かれているアッツにはあまり響かず…。その鈍さと青さ、岡田は適役である。

 ところが、だ。アッツは牛島や牛島の幼い弟と接して、金持ちといえど家族内の複雑な事情を抱えていることを知る。牛島に償いの気持ちがあることにも気づき、自分の中で何かが変わっていく。

「世の中は被害者と加害者が重複しあってできている」

 救いたい気持ちが一番でありながらも、ニーナに寄り添うことができずにフラれるアッツ。被害者と加害者の間で、頑なさと不器用さに頭を抱え…。

 そして今夜が最終回。

 このドラマは一見、見目麗しい若手を集めたポップな青春ラブストーリーと思ってしまうが、題材は今扱うべきものであり、しっかり重い。

 若い人ほど真剣に考えて学んでほしい要素が込められている。イギリスの警察が「性的同意」を紅茶にたとえてわかりやすく解説した動画も合わせて観てほしいなと思った。

「そんなことわかってるよ」と言い切る男性も、おそらく十中八九理解しちゃいないので、観てほしい。

 もともとはFODの配信ドラマだが、フジテレビがすばらしいのは、少し待てば地上波でしれっと流してくれる点。

 日テレのHuluとは違うよね。そして、若手俳優や若手制作陣の育成とブームアップをきっちり担っている点。

 マサ役の望月歩と牛島役の笠松将は、今後成長株と言える実力派俳優だ。私も密かに監視して、青田買いリストに入れとる。

 ここ数年、フジテレビ本体よりもFOD発のドラマにぐっと惹かれ続けているのである。

吉田潮(よしだ・うしお)
テレビ評論家、ライター、イラストレーター。1972年生まれの千葉県人。編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。2010年より「週刊新潮」にて「TV ふうーん録」の連載を開始(※連載中)。主要なテレビドラマはほぼすべて視聴している。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年9月4日掲載

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