「菅首相誕生」ならNHKの受信料は必ず下がる 総務相時代のバトルを忘れていない
受信料を2割下げろ
先手を打ったのは菅総務相だった。07年1月10日の夜、インドネシアを訪問中の菅氏が同行記者との懇談会で、受信料の2割引き下げをぶち上げたのだ。
「当時、地上波カラー契約で月額1345円だった受信料(口座振替)を、1000~1100円程度に引き下げるというものでした。ただし、値下げを条件に、放送法を改正して支払いを義務化するというものでした」(同)
現行法では、テレビを設置した者は、NHKと契約する義務はあるが、支払いの義務はない。
「とはいえ、NHKはこの前年、民事手続きによる支払いの督促を開始したことで、未払い者は急減。17年12月には最高裁が、支払い義務があるとのお墨付きを与えてしまったため、今では事実上、義務化されたようなものです。まだ当時は、NHKにとっては、支払いの義務化は悲願だったのですが」(同)
だったら、値下げをすれば済むこと。
「NHKは義務化は悲願でも、値下げには一貫して反対でした。菅さんの2割値下げ宣言に対し、橋下元一NHK会長(当時)は、即座に『値下げの余力はない』と反対を表明しました。ただ、菅さんの強固な姿勢を恐れたのか、徐々に軟化していきます。1月31日には『9月を目途に受信料の全体の体系の見直し案をまとめる』と言ったものの、菅さんも引かない。2月1日の会見で、『そんなに時間をかける必要はない。もっと早く結論を出してほしい』と発言。すると、NHKは『値下げの可能性を前向きに検討する』と折れたのです」(同)
菅総務相はそれでも強気だった。国会では次のように発言している。
菅:NHKの受信料額を決めるのは、今委員の御指摘にありましたように、放送法第三十七条の四項、この規定によって、国会がNHKの収支予算を承認することによって定める、こうなっていますから、これはやはり、NHKが定めるものではなくて、国会が承認するものだと私は思います」(2月22日 衆議院総務委員会)
NHKの受信料は俺が決める、といったところか。また同日の総務委員会ではこうも発言している。
菅:放送事業者というのは、NHKだとか民放、そういうものを問わず、公共性がまず強く求められている。特にNHKには、放送法第七条に基づいて、公共の福祉のために、あまねく全国に放送する、さらに視聴率にとらわれない、豊かでよい放送番組の提供といった高度な公共性というものを期待されているというふうに思っております。
視聴率を気にするNHKには耳の痛い話だろう。
[2/3ページ]