「山下達郎」「さだまさし」も参入のネットライブは儲かる? 意外な利点も

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 コロナ禍でミュージシャンがコンサートやライブを断念する中、ネットに活路を見出す新たな取り組みが。

「ライブハウスやスタジオで演奏し、その様子を配信する手法です。無観客なので感染リスクがなく、ファンも手軽に視聴できる」

 とは芸能記者。

「6月にはサザンオールスターズ、7月には杉山清貴や山下達郎ら、大物が続々オンラインでライブを配信。全員初めての試みでしたが、山下などはステージの映像収録を一貫して拒んできた“生ライブ主義者”。彼の参入は、業界関係者を大いに驚かせました」

 8月15日には矢井田瞳がデビュー20周年の記念ライブを配信し、17日には中川翔子が、中止に追い込まれたライブに代わり、ネットで楽曲を披露した。

「同じ17日には、さだまさしが感染症防止対策や被災地支援を訴えたチャリティコンサートを流しています。窮余の策として始まったネット配信は、業界で急速に根付きつつあります」(同)

 気になるのはその収支。

「通常のライブと比べ、実入りは全然良くないです」

 とはさる関係者。

「ライブなら、例えばアリーナ席で1万~2万円。その他の席で7千~8千円とチケット代をとれますが、配信は一律3千円ほどがいいところ。音質や画質も高いものが要求されて手は抜けないし、ライブ会場ならファンがTシャツやタオルといった定番グッズをバンバン買ってくれますが、そうした商売も見込めない。総じて出血覚悟の“真のファンサービス”ですよ」

 他方、大手レコード会社の幹部はそれでも利点もなくはない、と語る。

「ある歌手が“どうしても歌う機会が欲しい”というので、単独ライブを無料で配信したのです。その際に“トークの場面では必ず新譜に言及して欲しい”と伝え、動画の前と後には新譜のジャケットを映してPRを行いました。これで会社が負担したカネは宣伝費として計上できたため、費用は持ち出しでも納得です」

 また、ネットならではの良さもあるとか。

「なにしろライブと違って敷居が低い。視聴料は安いし、日本全国、いや海外からも視聴が可能。配信直前までSNSで情報を拡散し、ギリギリで知った人にもポンと見てもらえます。視聴中のファンからのメッセージに応えるといった、ラジオのような双方向の親密さも演出できるなど、利点はまだまだ発見できそう」

 模索は続く。

週刊新潮 2020年8月27日号掲載

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