もともと反韓・嫌韓ではなかった「安倍首相」を変えた“事件”とは?
文在寅政府は、露骨に日本との関係を軽視してきた
時系列は逆になるが、文在寅大統領は当選後、2017年12月28日の「慰安婦問題日韓合意」を検討した調査結果をめぐって、「手続き的にも内容的にも重大な欠陥」があったとし、事実上の破棄宣言をして再交渉をすることを公言した。
そして、「慰安婦問題日韓合意」によって設立された「和解治癒財団」を解体。一方で、2018年1月9日、政府は突然、12月28日の慰安婦の合意に対する再交渉を要求しないと発表した。
これとともに、「慰安婦問題日韓合意」は、日韓両国間の公式合意だという発言をした。なんという二枚舌なのか。現政権の誰も、これに対する明快な答えを出してはいない。
文在寅政権の対日外交の基本路線は明確だ。
「官制民族主義」といわれるほど、文在寅政権は民族的感傷主義に浸っている。
民族主義の性向を強く持つ民主化運動出身の面々で構成された文在寅政府は、露骨に日本との関係を軽視してきた。
対日政策を牛耳るのは大統領や外交部長官ではなく、挺対協出身やこれと関係ある大統領府の人士だという噂が、公然と出回っている。
「慰安婦問題日韓合意」の破棄、韓国最高裁の徴用賠償判決、韓国の駆逐艦の日本の哨戒機レーダー照準事件などについて、多くの日本国民は国家間の合意破棄、国際法違反だといって不快感を覚えた。
特に個人の請求権を認定した韓国最高裁判所の判決は、1965年の日韓請求権協定の効力を無効化して、日韓国交正常化の根幹を揺るがす重大な事件なのだ。
安倍首相が在任していた約8年間、日韓関係は以前より悪化したのは確かである。
韓国では現在、日韓関係の破綻の理由として、安倍政権発足後に露骨になった「日本社会の右傾化」を指摘している。
次ページ:慰安婦問題の解決なしに会談なしと条件を掲げていた朴槿恵
[3/4ページ]