もともと反韓・嫌韓ではなかった「安倍首相」を変えた“事件”とは?
親日は朴槿恵のアキレス腱だった
弾劾による解任という、“史上初の事件”の主人公、朴槿恵前大統領。
彼女は韓国では代表的な親日派と呼ばれる、朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領の娘だ。
政治家たちの親日行為にとりわけ批判的な韓国社会で、これはいつも朴槿恵のアキレス腱だった。
それを意識してか、朴槿恵は大統領の座に就いた後、異常なほど、対中国外交に集中し、対日本外交においては、あまり積極的な姿勢を見せなかった。いや、何もしなかった。
なぜそうだったのかは、後に韓国社会を憤らせた崔淳実(チェ・スンシル)国政聾断スキャンダルが起きた後によくわかった。
そんな中での、2015年12月の「慰安婦問題日韓合意」。1990年代末以降、日韓両国の不和と反目の決定的な原因だった従軍慰安婦問題を、最終的に解決したという点で高く評価された。
差し当たって、この合意は、慰安婦支援団体である挺対協の尹美香(ユン・ミヒャン)の変節と、反日民族主義的スタンスの文在寅大統領によって、事実上破棄されたも同然の状態ではある。
しかし、今回の正義連事件(元慰安婦が自分たちへの募金の不正流用などを告発)をきっかけに、これに対する再評価の動きが起きたし、今までのいかなる慰安婦の合意より一歩前進した合意だったことが明らかになっている。
文在寅政権発足後の2019年12月27日、韓国の憲法裁判所は、慰安婦被害者たちが起こした「2015年の慰安婦合意は違憲だ」という訴訟を却下。
また、これは慰安婦問題の解決を目的とした政治的な合意であり、この合意によって被害者の権利が侵害されたとは言えない、と判決をくだした。
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