菅野智之が巨人で82年ぶりの開幕9連勝 平成の大エース「斎藤雅樹」を超えたか

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11試合連続完投勝利

「平成の大エース」と言われた斎藤は、どこがすごいのか。

「やはり圧巻だったのは、日本記録になった1989年の11試合連続完投勝利ですね。11試合のうち、3試合連続完封もありました。11試合で自責点はわずか10点で、完封が4。この年は20勝を挙げ、翌90年も20勝と2年連続20勝を記録しています」

 斎藤の絶頂期は、1989年から96年までの8年間。この期間に最多勝利5回、最優秀防御率3回、最多奪三振1回、最高勝率3回と、タイトルを総なめにした。沢村賞は3回受賞し、杉下茂、金田正一、村山実と並んで最多タイ記録となった。さらに、94年から96年にかけて3年連続開幕戦完封という偉業も達成した。2016年に野球殿堂入りを果たした。菅野も3年連続開幕先発勝利投手の記録があるが、開幕3試合はいずれも7回で降板、2試合で失点している。

「当時、斎藤とバッテリーを組んでいた村田真一によると、ストレートは威力があり、コントロールも抜群。配球に迷ったら、真ん中低めにミットを構えるだけで良かった。構えたところにボールが来て、バットは空を切ったそうです。サイドスローは、軸足に体重をかけて投げるので、牽制が苦手な者もいますが、斎藤はそれを克服しています。ピッチングだけでなく、牽制、守備も素晴らしかった。これだけ総合力がないと、11連続完投勝利はできませんよ」(同)

 菅野と斎藤に共通しているのは、敗戦が少ないところだ。

「2人ともテンポよく投げて、立ち上がりで2、3点失点してゲームを壊すことはほとんどありません。だから、どちらも負け数が少ない。いくら10勝以上挙げても、負けがそれを上回ったら意味がありません。いずれも貯金の多い投手ですね」(同)

 斎藤は18年間で180勝96敗、防御率は2・77。菅野は8月25日時点で、96勝47敗、防御率2・32だ。研鑽を惜しまず進化し続ける菅野は、斎藤を超える日が来るのだろうか。

週刊新潮WEB取材班

2020年8月27日掲載

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