コロナとインフルエンザを比較 大規模調査、隔離措置は不要?
重症化を抑えるノウハウが蓄積
ところで、このところウイルスが「弱毒化」したのではないか、という観測もあるが、宮沢准教授は、
「そう見えなくもないですが、遺伝子配列情報などが明らかになっていないので、そうとは言い切れない」
と話す。とはいえ、いまでは医療の面で、重症化を防ぐ手立ては、確実に進歩しているのだ。東京歯科大学市川総合病院の寺嶋毅教授が説明する。
「高齢者が新型コロナに感染しても、重症化はある程度抑えられているという現状があります。原因としては、血栓に注意して抗血栓薬を使用する、などの知見が蓄積されてきたことが挙げられます。7月21日には治療薬として、レムデシビルに続き、デキサメタゾンというステロイド薬が追加されました。重症のアレルギー疾患やリュウマチなどに使用される抗炎症薬の一つで、呼吸器が必要なほど重症化した患者に使用すると、致死率が下がることがわかっています」
このウイルスについて、わかっていることを冷静に評価するだけでも、パニックを引き起こすほどのものではないと理解できるはずだ。また、巷のマスク警察に対しても、寺嶋教授の言葉を示しておきたい。
「いまの季節、屋外では熱中症対策を優先したほうがいい。熱中症は短時間で命にかかわり、マスクをしていると熱がこもるのでリスクが上がる。屋外では人との距離が適切に保たれていれば、マスクをする必要はありません」
命を金科玉条にしたマスク警察が、尊い命を奪う危険性もあるのである。
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