韓国で進む「歴史歪曲禁止法」のとんでもない中身、日韓関係はさらに悪化へ

国際 韓国・北朝鮮

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韓国社会を騒がせた国定教科書事件と同じ

 これは朴槿恵(パク・クネ)政権当時、韓国社会を騒がせた国定教科書事件と同じく、認識の暴力であり、真の和解を望む日韓両国民に対して失礼だ。学者や市民の討論で解決すべき歴史観論争を政治が利用したり、法でこれを裁断したりすることは、あってはならないことだ。

 一国の歴史認識が、歴史を見つめる「特定の思惟」によるものだとすれば、これは多くの場合、教育やディアを通じて人為的に創出されるものである。にもかかわらず、画一化した歴史教育を通じて、さらには法で人間の「思惟」を支配し、統制するという。これが表現の自由を保障する、民主主義国家で可能なことだとおもうのか。これは認識的暴力、まさにその一言に尽きる。

 国定教科書、歴史歪曲禁止法を云々すること自体が、野蛮な思考だ。国定教科書を製作するという試みは撤回されたので幸いだが、いま国会に提出された「歴史歪曲禁止法」がどうなるのやら。本当にこの政府、韓国社会の歴史に対するとんでもない認識には、憤りを超えて失笑を禁じえない。幸いにも、同法案に対する韓国社会の世論はあまり良くない。しかし、反対する人々も立法の趣旨には同意すると前提しているのが、またおかしい。私はその趣旨というものには決して同意できない。もしこの法案が通過すれば、これ以上韓国社会に何の期待もしない。そう言えるほどの代物だ。

李東原(イ・ドンウォン)
日韓関係史が専門の評論家

週刊新潮WEB取材班編集

2020年8月26日掲載

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