韓国で進む「歴史歪曲禁止法」のとんでもない中身、日韓関係はさらに悪化へ

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文在寅大統領も就任前から、デモ活動で「歴史歪曲」の禁止を訴えてきた

 韓国では、去る4月15日に国会議員選挙があった。今回の選挙で政権与党の「共に民主党」は、300の議席のうち過半数のほぼ6割に当たる177議席を占め、議会権力を掌握。そして5月30日から4年間の国会議員の任期が開始され、6月5日、第21代国会が正式開院された。韓国の国会は、米国や日本とは違い一院制になっており、国会の解散は法律で禁止されている。そして国会議員は、国会が開かれる間は逮捕することのできない「不逮捕特権」を持ち、職務上の言動が罪に相当しても処罰を受けない「免責特権」も併せ持つ。そんな絶大な権力を持つ議員が進める「歴史歪曲禁止法」は、文在寅大統領が就任前からデモ活動で訴えていた主張に繋がっている。日韓関係史に関する評論家の李東原(イ・ドンウォン)氏は、この法案の中身はとんでもないもので、深い憂慮を抱かざるを得ないと言う。

 会計不正疑惑事件と、国から受けた補助金と国民の寄付金を個人的に横領した疑いをかけられている尹美香(ユン・ミヒャン)元正義連の理事長。慰安婦の支援活動を長年行ってきた彼女も先の選挙で当選し、晴れて国会議員となった。実は、彼女が国会議員の任期が始まる5月30日以前に検察の取り調べを受け、容疑が明らかになり拘束収監されることを個人的には望んでいたのだが、残念ながらそうはならなかった。検察側からみると、現政権の実力者たちの庇護を受けて国会議員になった尹美香を、国会議員の任期開始前に捜査をすることはかなり負担だったようだ。

 確認された事実ではないが、担当地検長はその“不捜査”の功労が買われ、人事異動で高検長に栄転したという。担当検事長が入れ替わったせいか、告訴・告発が行われてから3カ月が経った8月13日、とうとうと尹美香に対する1回目の検察の取り調べが行われた。そして17日に予定された2次取り調べは、尹美香が検察出席を拒否したため、行われなかった。

 すでに国会議員になってしまった尹美香に対する検察の調査がどこまで行われ、今後、どのような判決が下されるのか。尹美香事件に対する司法府の判断は、韓国はもちろん日本社会に及ぼす影響が少なくないだろう。しかし、司法府の最終判断が下されるまでは、今後長い時間がかかりそうだ。

韓国の志村けんと呼ばれた国会議員が「国会には私よりも面白い連中がたくさんいて」

 国会議員の仕事というものは、実に多様である。その中の代表的なのは、政権の監視と民意を代弁して、法を制定することであろう。だから国会議員一人一人を、独立した立法機関と呼んだりもするのだ。ところで、韓国では、新たに国会が構成され開院をすると、誰が第1号法案を提出するかを競う、つまらない習わしがある。

 今回の21代国会第1号法案のタイトルは、朴光温(パク・グァンオン)「共に民主党」議員が提出した「公共機関の社会的価値を実現するための基本法」で、議案番号「2100001番」が付与された。朴光温議員室では、第1号法案を提出するために、数日間徹夜をし事務所が開かれるのを待ったという。なんというコメディで、人力と時間の浪費なのだろう。韓国の国会ではしばしばコメディよりももっと面白いことが起きたりもする。

 すでに故人となったが、「韓国の志村けん」と呼ばれたコメディアンの李周逸(イ・ジュイル)氏が国会議員になって、「国会には私よりも面白い連中がたくさんいて、今後食っていくのが大変になりそうだ」と発した言葉は、今でも時々、人々の口の端に上がっている。

 さて、いま韓国の国会は、21代国会議員たちの立法活動が盛んであり、20代で処理できなかった法律案が再び立案されたり、新しい法律が競争でもするかのように次から次へと発議されている。その中で特に目立つのが、与党の梁香子(ヤン・ヒャンジャ)議員が8月1日に発議した「歴史歪曲禁止法」だ。

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