コロナ治療薬開発でバイオベンチャーの株価が高騰 “共同発起人”のオバマ前大統領サイドは怒り心頭のワケ

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乱高下した株価

 会見前、テラ社の株価は150円前後だったが、6月9日には2175円にまで跳ね上がった。

 ところが、その3日後に発売された写真週刊誌「FRIDAY」(6月26日号)が「株価が高騰 東大医科研初の創薬ベンチャー 新型コロナ治療薬開発は本当か?」の記事を掲載した。

 同誌が問題視したのは、メキシコにおける新薬の治験だった。臨床試験を行っているという総合病院に問い合わせを行い、《日本の会社による(新型コロナ感染症の)治験や新療法の話も聞いていません》と回答したと報じたのだ。

 さらに投資家・評論家として知られる猫組長(56)も、雑誌「SPA」に連載している「ネコノミクス宣言」で2号(5月26日号/6月2日号)にわたって、自身がテラ社の株購入を持ちかけられ、対応したところトラブルとなった経緯を執筆した。

 こうした報道などにより、テラ社の株は急落。8月7日には1106円の安値を付けた。8月21日現在、終値は1238円となっている。

 テラとセネジェニックス・ジャパンの両社、そして猫組長の株を巡る“抗争劇”を、「週刊新潮」も7月30日号で「猫を被れない元組長『コロナ銘柄株』の仁義なき戦い」との記事で報じた。

「共同発起人」の言及がないビデオ

 ところが、これだけの詳報が行われても、誰も気づかなかった点がある。それは「オバマ前大統領は本当に『国際新型コロナウイルス細胞治療研究会』の共同発起人を務めているのか?」という問題だ。

 YouTubeに公開された会見動画では、財団職員が作成したメッセージを白人女性が代読したのは先に見たとおりだ。

 この中に、日本語字幕で「オバマ氏は鳩山元首相と共同発起人として当会に参加し」と表示される箇所がある。

 ところが、女性が読みあげている英文に、そんな記述は存在しないのだ。例えば共同発起人なら“co-founder”とか”co-promoter”などといった単語が使われるはずなのだが、そうした単語は一言も口にしていない。

 先に日本語字幕を紹介したが、再掲してみると、以下のようになる。

《オバマ氏は鳩山元首相と共同発起人として当会に参加し、日本および世界各地における御会会員の皆様が幹細胞治療における新たな進展を通じて、新型コロナウイルスに最新の科学を以て対処するという重要な試みに成功されますことを心より願っております》

 ところが動画で朗読される英文を書き取り、日本語に訳してみると、次のように変わってしまう。

《オバマ氏は鳩山元首相と日本および世界各地における『国際新型コロナウイルス細胞治療研究会』メンバーの皆様が幹細胞治療における新たな進展を通じて、新型コロナウイルスに最新の科学を以て対処するという重要な試みに成功されますことを心より願っております》

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