「大文字山」ニセ送り火の犯人は京大生? 怪しい目撃証言も
その起源は定かでないものの、古(いにしえ)より連綿と続くのが「京都五山送り火」である。ところが、今月8日、お盆明けに灯されるはずの大文字がLEDの青白い光で輝いた。“犯人”として疑われたのはまさかの京大生で……。
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五山のうち、大の字が灯されるのが銀閣寺近くにある如意ヶ嶽(大文字山)。8日夜、異変を目撃したラジオDJの野村雅夫氏は、
「夜11時くらいに自宅から『大』の字が見えたのです。灯されるのは毎年8月16日、何だろうと思ったんです。ゆらゆらした送り火ではなく、青白くくっきりとした人工的な明かりでした」
その明かりの正体について、照明の専門家は、
「光からしてLEDの明かりだと推測できます。看板などで使われる直径30センチ前後の照明器具を50個ほど設置したのではないか。しかし、それだと発電機が必要になる。懐中電灯のような電池で動かせる照明機器を使ったのかもしれません。いずれにせよ複数人でないと設置は難しい」
誰が何の目的で……。謎は深まるばかりだが、当事者は怒り心頭に発している。
「たまたま目撃したタクシーの運転手が川端警察署に通報してくれたんです」
と、大文字保存会理事長の長谷川英文氏。通報は夜の11時頃だったそうで、
「警察は銀閣寺にすぐ駆け付け、夜中まで下山してくる人を待っていたそうです。しかし、誰も下りてこずじまい。別の登山道から逃げてしまったのでしょう」
照明器具は“犯人”が撤収。器物損壊もなく、山は誰でも入れるよう開放されていて、不法侵入にも問えない。立件は難しいと警察から説明を受けたという。
“京大ですよ”
「ですが、似たようなことは過去にもあったんです。7、8年前に同じく大の字がライトアップされ、山を登ると50人ほどの大学生が懐中電灯を三つ四つテープでぐるぐる巻きにして照らしていた。京大生もいて、今回もそういう若い学生だろうと思います」(同)
別の保存会幹部はこんな目撃談を明かす。
「2日後の10日夜に銀閣寺付近を見回りしていると、下山してくる8人ほどの若者がいた。怪しいので何をしているのか、京大生か、と声をかけると、“京大ですよ、何か!?”と逆ギレされまして……」
京都大学の広報は今回のLED騒ぎについて、
「本校の学生が行ったとは承知していません」
結局、“真犯人”は藪の中。先の長谷川理事長は、
「なんてことをしてくれたんだ、という思いです。先祖の霊を送る伝統行事の本義を考えてほしい」
今年は火床を減らして灯された大文字。あの世へお戻りのご先祖様も、さぞ複雑な思いだったに違いない。