コロナ過剰対策による「認知症パンデミック」の実態 医師が証言

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帰省警察

 高齢者の命を守れ! とワイドショーばかりか知事たちも声高に叫んでいる。それを受け、帰省警察とやらも続々と出動中だが、結果、多くの高齢者が衰え、認知症パンデミックが起きているとしたら――。怖いのは、ウイルスよりもむしろ集団ヒステリーである。

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 今月8日、全国知事会はオンラインで新型コロナウイルス緊急対策本部の会合を開いた。そこで、たとえば東京都の小池百合子知事は、今夏を〈特別な夏〉と位置づけ、そのうえで
〈旅行、帰省、夜間の会食、遠くへの外出、これらをお控えいただきたい〉というメッセージを発した。

 現に、〈特別な夏〉になってしまった。お盆休み最終日の16日も、例年はUターンラッシュで混雑するところが、高速道路に目立った渋滞はなく、新幹線の乗車率は5~15%程度。つまりガラガラであった。

 むろん小池知事だけではなかった。全国知事会として〈大切な「ふるさと」と命を守るため、お盆の帰省について、いま一度ご家族・ご友人とのご相談をお願いします〉などと、強く訴えたから、お上に従順な日本人の多くが、お盆の移動を避けたと考えられる。

 だが、それでよかったのだろうか。知事会のメッセージには、概ね二つの問題があったと考えられる。一つは、新型コロナウイルスを、実態以上に怖れるように促してしまっていること。もう一つは、帰省しないという選択が、必ずしも〈命を守る〉ことにつながらない、ということである。

 それぞれの問題について、これから細かく解き明かしていきたいが、前者すなわち「怖れすぎ」が、自粛要請に従わない人への圧力や、不寛容な言動につながっているのは、明らかだ。

 典型が、東京都内から青森市内へ、墓参などのために帰省した男性の家の玄関先に、次のような手紙が投げ込まれた件である。

〈なんでこの時期に東京から来るのですか? 知事がテレビで言ってるでしょうが!! 知ってるのかよ!! 良い年して何を考えてるんですか? この通りは小さい子も居るのです。そして高齢者もです。さっさと帰って下さい!! 皆の迷惑になります。安全だと言いきれますか??〉

 東京から来ただけでウイルス扱いする姿勢もさることながら、安全云々を言い出せば、この手紙を書いた人もまた〈安全だとは言いきれ〉ないことに気づいていないのが愚かしい。ノンフィクションライターの石戸諭氏は、こう指摘する。

「青森の例は氷山の一角で、こうした帰省警察の例は無数にあるのでしょう。帰省や外出を控えるのは、公衆衛生の観点からいえば、たしかに正しい。ただ、帰省警察になる人の問題は“ある面から正しい”ということを根拠に、自分を絶対的正義の立場に置いて、他者に強制することです。そもそも“帰省を控えろ”といわれますが、どうしても帰らなければならない場合もあるでしょう。個々の事情を考慮せず、一律に正義の名のもとに他者を罰する帰省警察は、非常にやっかいな社会現象です」

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