韓国は日本を模倣して大きくなった…コンビニなどのフランチャイズ編

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ミニストップは韓国コンビニFCで唯一、店主の最低収入を保障

 いま日系を含む韓国の外資系コンビニエンスストアはミニストップが唯一となっている。

 韓国ミニストップは、食品メーカーの大象(デサン)が設立した大象流通が母体で、2006年6月にイオンが買収した。2014年にファミリーマートが撤退して以降、韓国コンビニ業界唯一の外資系コンビニチェーン店となった。

 イオンが2018年、韓国ミニストップ株式の売却を発表するとロッテと新世界グループが応札した。

 イオンは韓国のコンビニ市場は成長すると予想したが、パートナーの大象は調味料を得意とする食品メーカーで、小売店経営のノウハウはない。ノウハウを持つパートナーを求めて、所有する株式の一部を売却することにしたのだ。

 ロッテはミニストップの看板を下ろしてセブン-イレブンに転換することを求め、新世界も自社が運営するイーマート24に転換する条件を提示した。同時期の韓国ミニストップは2550店で、ロッテはセブン-イレブンの既存店と合わせるとコンビニ業界2位に浮上する。イーマート24も一気に店舗数が拡大する。

 韓国ミニストップ株式の売却に着手した目的は、事業を安定させるパートナー探しで、看板を下ろす考えはなく、2社との交渉は決裂し、イオンは株式の売却を中断した。

 文在寅政権は在任中に労働者の最低賃金を1時間1万ウォンに引き上げるという公約を掲げ、2018年、最低賃金を前年より16.4%高い7530ウォンに引き上げ、2019年にはさらに8350ウォンまで引き上げた。

 2019年の給与所得者の標準月収は329万ウォンとなったが、小規模自営業者の月収は209万ウォンに下がり、自営業者が自身の収入を削って高騰する従業員の賃金を支払う状況が広がった。

 コンビニエンスストアはさらに厳しく、店主の2018年の平均月収は130万2000ウォンまで落ち込んだ。これは交代で店に立つ家族の収入を合わせた世帯収入である。

 韓国ミニストップは韓国コンビニFCで唯一、店主の最低収入を保障している。日本を模倣してスタートしながら日本と異なるシステムに移行したFCが、加盟料収入を求めて出店を拡大するなか、韓国ミニストップはFC事業の本質である店主の収益最大化に力を注ぐ方針を掲げている。

 韓国ミニストップ加盟店は、韓国企業への株式売却を中断したイオンに足を向けては寝られない。

佐々木和義
広告プランナー兼ライター。商業写真・映像制作会社を経て広告会社に転職し、プランナー兼コピーライターとなる。韓国に進出する食品会社の立上げを請け負い、2009年に渡韓。日本企業のアイデンティティや日本文化を正しく伝える必要性を感じ、2012年、日系専門広告制作会社を設立し、現在に至る。日系企業の韓国ビジネスをサポートする傍ら日本人の視点でソウル市に改善提案を行っている。韓国ソウル市在住。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年8月25日掲載

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