巨人はいまが“我慢の時”、2年目「直江大輔投手」に期待【柴田勲のセブンアイズ】
巨人が広島に3連敗を喫した(21日~23日・マツダスタジアム)。同球場で3連敗したのは昨年の7月以来だ。
この前のカード・阪神戦(東京ドーム)では3タテをしているからこの6連戦は3勝3敗、23日の試合を勝っていれば4勝2敗になっていた。大違いだ。巨人にすれば絶対に落とせない試合だった。3連敗は痛い。
最近、巨人のフロント関係者に会った。「もうケガ人が出ちゃって…」と話していたが、私、「ケガ人が出ているのはどこのチームも一緒だよ。巨人はケガ人が出ても戦力層が厚いじゃないか」と応じたが、確かに独走態勢に入れそうで入れない。
C.C.メルセデス(左ひじ違和感)、ヘラルド・パーラ(右ひざ違和感)、エンジェル・サンチェス(右肩違和感)、などなどだ。でも、前回も記したけど打撃10傑に入っている野手が一人もいない。おまけに先発投手で当てになるのは菅野智之(8勝0敗)と戸郷翔征(6勝2敗)の2人だけだ。
それで首位に立っているのだから、坂本勇人、丸佳浩、岡本和真の「レギュラー」3人以外がよく働いているし、原辰徳監督の采配が冴えているということだろう。
それにツイている。2位・DeNAとのゲーム差は4・5だが、そのDeNAから6位・広島までダンゴ状態だ。今季は昨季よりも試合数が23少ない120だが短いようで実は長い。山あり谷ありのシーズンに変わりはなく、いまの巨人は「我慢の時」だと思う。
先ほど、「巨人は戦力層が厚い」と記したがまたイキのいい投手が現れた。23日の広島戦に先発した2年目の直江大輔投手だ。
確かに首脳陣が投げさせてみたいと思わせるだけのことはあった。鈴木誠也に一発を浴びたものの4回を1失点だった。ストレートのスピードはあるしカーブ、スライダーといった変化球もよかった。フォークはすっぽ抜けもあったが、有効に使って打者15人から5奪三振で、さらに言えば与四球は1だった。落ち着いていた結果だと思う。
未経験の球場、降雨で試合開始が遅れた、広島独特の蒸し暑さ、そして2連敗の後を受けてのマウンドになった。それらの悪条件に顔色を変えずに打者に向かった。原監督は「おとなしく見えるけど、プロ野球選手として一番大事なものを持っている。闘争本能、プロとしての魂を持っている」と高く評価したと聞く。今回、球数のメドを70としたため、64球で降板となったようで、次回の登板ではもっと長い回を投げる可能性もある。あとは経験だ。2年目の戸郷がブレークしているが、彼はこう投げれば打たれない、こうすれば抑えられると、実戦を体、肌で感じている。マウンド上でも冷静で、打つなら打ってみろといった感じで、プラス志向で臨んでいる。
22日に先発した畠世周もいいモノを持っている。ボールに切れがあるし球威も充分だ。しかし、彼の場合はストライクとボールがハッキリしている。やはりコントロールだ。
投球の基本はアウトローだ。仮に私がブルペンで投球練習をして100球投げるなら、アウトローへ50球、あとの50球はインロー、アウトハイ、そしてインハイへ分ける。ストライクゾーンの四隅を意識する。
いくら球速や球威があっても四球、四球では試合にならない。四球を7、8個出して完投する投手もいるけど稀だ。ストライクが入っていれば、打球が野手の正面を突くこともある。いきなり先頭打者に四球では本人は気落ちするし、もちろんベンチ、それに守っている野手も嫌になる。
とにかく四球の連発だけはダメだ。コントロールを徹底的に磨く。畠だけではなく、身に覚えがある投手たちは心がけてほしい。
打線もあまりよくない。23日の試合では11試合ぶりに坂本、丸、岡本で2、3、4番を形成した。坂本が先制点となる二塁打を放ったものの、何度も得点圏に走者を置きながら、ここでの一本がなかった。
岡本は変な打ち方になっている。ステップして打ちにいく時、力が入る。どうしてもボールに手が出やすくなる。いま、巨人の打者でバットがすんなり出ているのは中島宏之くらいなもので大城卓三にしても大振りになっている。
全体的にボール球を振って相手投手を楽にしている。とにかくワンストライク目を積極的に打つ。そのためにももっと打つゾーンを狭めたらどうか。例えば真ん中ベルトより高めを狙い、ひざ元は捨てる。結果を考えずに振ることが大事だと思う。
今は「我慢の時」だ。25日からヤクルト(神宮)、中日(東京ドーム)の6連戦だ。先陣を切るのは菅野か。エースで取れば大崩れはない。チーム全体で我慢の時をしのいでもらいたい。