実は「太陽にほえろ!」にも出演していた渡哲也さん 出演理由も人物設定も泣ける話
泣かせる橘兵庫の人物像
ここから本題に戻ろう。一番肝心な、渡さんが演じた刑事のことだ。その役名は橘兵庫といい階級は警部である。
番組終了後の87年3月31日に発行された『太陽にほえろ!完結記念号―14年7カ月の軌跡―』(発行:日本テレビ放送網株式会社)によると、橘兵庫のプロフィールは1941年12月28日生まれの兵庫県出身となっている。ここでお気づきの方もいるかもしれないが、これはまんま実際の渡さんと同じなのだ。
さらに、国立大学を卒業後に警視庁に入庁とある。気になるボスとの関係性だが、二人とも一時期、城北署勤務の時代があり、そのときの先輩=藤堂と後輩=橘という間柄である。
ボスを尊敬していたため、病気療養から復帰するまでの間、自ら上層部に申し出て七曲署捜査第一係の係長代理として、警視庁刑事部捜査第一課から臨時に着任することとなった。七曲署では欠かせないニックネームは、その階級から“警部”と呼ばれることに。ちなみに警視庁刑事部捜査第一課では係長だったという設定となっており、輝かしい実績を数々挙げてきた、かなりの敏腕警部であることが伺える。
この設定は、まさに渡さんの石原プロ入社時と重なって、泣かせてくれる。尊敬する藤堂の城を守りたいという一心で、ボスの代理として七曲署に赴任することは=本庁の警部まで出世したにもかかわらず、その出世コースを棒に振りかねない行為だからだ。
渡さん自身も、若い頃からいろいろと世話になった石原の窮地を救うために当時の全財産180万円を持って石原プロに馳せ参じている。実はこのとき複数の映画会社からのオファーがあったにも関わらず、石原への尊敬の念から、傍から見れば“火中の栗”を拾いにいった形となったワケだ。
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