金ロー「となりのトトロ」は17回目の放送でも16%超 コスパは超一流の希有な作品

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日テレと組んでヒットが生まれた

 あの名作と言われる「ルパン三世 カリオストロの城」でさえ、配給収入は約3億円。熱烈なファンも多い「風の谷のナウシカ」も7億4200万円、「となりのトトロ」に至っては、5億8800万円しかなかった。テレビ関係者は言う。

「初期の作品も、当時から非常に評価が高かった。しかし、『トトロ』までは日テレが製作に入っていなかったんです。そのため、前宣伝がうまくいかず、興行成績も上がらず、制作費の回収もままならなかった。映画としてヒットしたのは、『トトロ』の次の『魔女の宅急便』からです。ジブリは創設に当たり、徳間書店の徳間康快さんから出資を受け、ジブリの初代社長も務めましたが、彼と日テレの氏家齊一郎さんは非常に仲が良かった。そこで宅急便の商標を持ち、クロネコも登場することで、ヤマト運輸を巻き込み、日テレが大掛かりな番宣を組みました。そしてジブリの制作力、面白さを証明するために、『魔女の宅急便』が公開される89年に、『トトロ』をテレビで放送したら、21・4%の高視聴率を取ったんです。おかげで『魔女の宅急便』は『トトロ』の3倍以上の配給収入となり、『トトロ』も毎年放送されることが続きました。今は2年に1回のペースで放送され続けています。これまで17回放送されていますが、うち10回の視聴率は20%以上を記録しています。テレビで人気が爆発した珍しい作品です」

「金曜ロードSHOW!」では、88年公開の「火垂るの墓」(高畑勲監督)も終戦の風物詩的に13回放送されている。野坂昭如氏が自身の戦争体験を題材とした作品である。これが『トトロ』と同時上映だったというのもまた意外だ。

「どちらもテレビで広く知られる作品になったといっていいでしょう。公開時は楽しい『トトロ』の後に、暗い『火垂るの墓』が上映されて、ドン引きした親子が多かったとか」(同・テレビ関係者)

 どちらも人気作となったのだから、テレビ局としては、放映権料はかかっても、2時間ドラマを一から作るよりお金はかからない。ありがたいこと、この上ないだろう。

「そうですね。『トトロ』の最低記録は18年放送の14・0%ですが、それだって決して悪い数字ではない。下手なドラマで失敗するよりはよほどいい。ちなみに『千と千尋の神隠し』の地上波初登場の視聴率は03年の46・9%でした。これはこの年の『紅白歌合戦』(45・9%)を上回り、年間1位を獲得しています」(同)

 もっとも、表を見ると、ジブリ作品のそれぞれの最高視聴率は90年代に多いことが分かる。一方、最低視聴率は15年以降に多いようだ。

「同じ作品を17回とか18回も放送していれば、数字も落ちてくるのは仕方がない。2010年頃からジブリ作品の数字は落ちてきているようです。たとえば91年公開の高畑勲監督の『おもひでぽろぽろ』は、過去に20%以上を取ったことがなく、最近は3回連続で一桁になっています。その辺りが8回しか放送されていないことに繋がるのでしょう。ジブリ作品といえども、数字が取れなくなれば、放送されなくなっていくわけです」(同)

 日テレでは“3週連続!夏はジブリ”として、「トトロ」を皮切りに、11年公開の「コクリコ坂から」(宮崎吾朗監督)、28日には10年公開の「借りぐらしのアリエッティ」(米林宏昌監督)が放送される。

週刊新潮WEB取材班

2020年8月24日掲載

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