「元女子アナ」の社外取締役が流行 「福島敦子」は推定報酬4千万円超え

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 昔は社長のお友達か天下りの指定席だった社外取締役の役割が見直されている。なかでも「是非、わが社の取締役に」と引っ張りだこなのが元女子アナだという。一人で3社を掛け持ちする女傑もいるのだ。

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 東京証券取引所が、10人以上の取締役がいる上場企業に対して、〈独立性の高い社外役員〉を2名以上選ぶよう義務付けたのは5年前のこと。目的は経営の暴走を監視させるためだ。違反すればペナルティがあるだけに、上場企業はこぞって社外取締役を迎え入れたが、やたらと目につくのが元女子アナである。

 たとえば、ネット証券などを運営するSBIホールディングスが元NHKのフリーアナウンサー・久保純子氏を起用したのは、昨年6月のこと。さらに同社は今年、久保氏に代わって元TBSの竹内香苗氏を招聘している。そうかと思えば、NHK「クローズアップ現代」の元キャスター・国谷裕子氏を3年前から社外取締役に迎えているのが日本郵船だ。

「他にもエネルギー関連の伊藤忠エネクスでは元NHKアナの山根基世氏。社外取締役ではないもののオンワードHDでは草野満代氏が監査役に就任しています」(証券会社幹部)

 山根氏に経緯を聞いてみた。

「私はNHKを退職したあと、伊藤忠記念財団という文化団体の理事をやっていました。財団には伊藤忠エネクスの社長さんも入っており、昨年、急に取締役のお話をいただきました。最初はお断りしたんですが“会社のダイバーシティ(多様性)推進のために手伝ってほしい”と頼まれた。それなら、NHKで初の女性アナウンス室長を務めた私の経験も活かせると思ってお受けすることにしたのです」

4千万円

 就任後は毎月の役員会のほか、役員会の前に開かれる“事前説明会”にも出席せねばならず、経営メンバーとして全国各地の関連施設の現地視察も欠かせない。「決して“お飾り”ではない」と山根氏が言うように、

「決算書や重要資料も読み込まなければならず、時には社長の給料が高すぎると文句をつけるのも社外取締役の役目です。会社に不祥事があればお目付け役としての責任を問われることもある」(先の証券会社幹部)

 それだけに報酬も安くはない。山根氏の場合、推定で年間1400万円だが、数社を掛け持ちしている御仁もいる。元TBSのリポーター・伊藤聡子氏と、NHKで「ニュースTODAY」などのキャスターを務めた福島敦子氏だ。伊藤氏は積水樹脂、三谷産業(監査役)、十六銀行。そして、福島氏はカルビー、ヒューリック、それに名古屋鉄道で社外取締役を務めている。報酬は推定で伊藤氏が年間約1700万円、福島氏は約4千万円にのぼる。

 福島氏の場合は、〈マスコミ業界で長年活躍され、豊富な経験を有して〉いることが選任理由だが、ここ10年以上、著作もなく、イチロー元選手の「義理の姉」というイメージだったような……。

 企業法務に詳しい渥美陽子弁護士が言う。

「女性弁護士を役員にすると、厳しい意見を言ってきて面倒だという声を聞いたことがあります。だったら同じ女性でも、華のある女子アナがいいと考える経営陣もいるのではないでしょうか」

 取締役会に“生出演”してくれる元女子アナ。同じ「お目付け役」なら、こっちに叱られたほうが嬉しいというわけか。

週刊新潮 2020年8月13・20日号掲載

ワイド特集「コロナ禍の女」より

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