悪いヤツほどよくドヤる! 「半沢直樹」や田中みな実…不況のドラマ界を回す怪演戦略
ドラマ界の“ニューノーマル”ポジションへ 怪演俳優がもたらす金メダル級の経済効果
「半沢直樹」は現代の時代劇、と言われている。先にあげた「M 愛すべき人がいて」は大映ドラマと言われていた。両者の共通点は、わかりやすい悪役、大仰なセリフ回し、勧善懲悪の展開だ。さらには「スカッとジャパン」。そういえば木下ほうかも、ブレイクのきっかけは同番組でのイヤミな悪役ぶりだった。
ただでさえ疲れる生活を送る中、複雑な背景や人間関係なんて見たくない。テレビくらい、わかりやすいものを見てスカッとしたい。そんな気分には、怪演俳優たちのドラマはぴったりなのだろう。胸焼けしそうな顔芸、コテコテの嫌がらせ、最後はきっちり成敗される展開。息抜きとして一人で見るも良し、SNSで顔も知らない人々と盛り上がるも良し。自粛生活で募る孤独を癒やす、もってこいのコンテンツだ。テレビ局にとっても話題になれば、経済効果は大きい。何より、怪演俳優たち自身も顔が売れる。視聴者、テレビ局、役者と、まさに三方良しをかなえる特異なポジションなのである。
オリンピックが消えた夏、金メダル級の活躍を見せる怪演俳優たち。主役よりも憎めない悪役たちが目立つ流れは、まだまだ続きそうだ。とはいえ、悪役なのに笑えることを良しとするのは、悪役好きとしてはちょっともどかしい。魅力的な物語には、魅力的な悪役がいるもの。本当にイヤーな悪役も、そろそろ見てみたいものだ。涼しい顔をして悪業を重ねていたタレントも次々に見つかった今年だが、「半沢直樹」が現実を超えてくる日は来るか。キーパーソンかと早くも話題の小料理屋の女将役・井川遥がすごい嫌な役を演じ切ったら、たぶん好きになっちゃいそうな気がする。
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