金正恩から金与正へ…諜報機関も認め、加速する北の権力構造大転換のワケ

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誰も金与正には逆らうことができない

 一方、情報院は金正恩が金与正に委譲した権力は対米、対南関係の業務だと発表していますが、完全な委譲でもなく、最終決定は金正恩が行うとしています。

 この部分に関しては、私の主張と部分的に一致しながらも根本的には異なっています。

 実は、金与正に委譲した業務が対米、対南関係に限定されていなかったと私は見ています。

 金与正は中央党組織指導部のトップであり、対米、対南政策まで総括していることになります。そうなると、軍を除いた統治権力の大半が、金与正に委譲されたことになります。

 人事は万事であり、北朝鮮の最高幹部の手綱を握っているのですから、誰も彼女には逆らうことができません。

 最近では7月27日の戦争老兵大会を最後に、彼女は一切表舞台に姿を見せていません。また金正恩が主催する各種主要会議にも出席していません。ともすれば、金与正は兄の金正恩氏を疎んじているようにも見えます。

 韓国、および国際社会は、北朝鮮の「金正恩健在ショー」を見ているだけでなく、積極的な対北情報収集を行い、北朝鮮国内で本当は何が起こっているのか、北朝鮮の権力体系がいかに急変しているかを確認し、どのように対応すべきか準備する時だと思います。

金興光(キム・フンガン)
北朝鮮の平壌金策工業総合大学電子工学卒業後、咸興共産大学で博士号を取得。2003年に韓国へ脱北し、2006年には韓国政府内の統一部北朝鮮離脱住民後援会課長を経て現在、(社)NK知識人連帯の代表を務めながら韓国内で対北専門家としてTV、新聞、YouTubeなどで活躍中。http://www.youtube.com/c/NKtv3

週刊新潮WEB取材班編集

2020年8月22日掲載

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