金正恩から金与正へ…諜報機関も認め、加速する北の権力構造大転換のワケ

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権力を移譲した金正日に軟禁状態にされた金日成、権力を死守した金正日

 もちろん、国際社会からの経済制裁によって経済難、食糧難、エネルギー難などに北朝鮮が陥っているのはすでに周知の事実ではあります。が、北朝鮮の経済不振は慢性的な事案であり、今さら金正恩がストレスを感じるほどのものではありません。

 北朝鮮のような独裁体制下では、独裁者が自分の統治権力を他の誰かに移譲した瞬間、むしろ移譲した相手から足をすくわれ、すべての権力を奪われることになるやもしれません。

 例えば金日成は老いにより、息子の金正日に自分の権力を委譲しましたが、結局は主席宮に軟禁状態にされ、お飾りの案山子に転落しました。

 独裁権力の何たるかを熟知している金正日は瀕死の状態にあっても、絶対に統治権力だけは手放そうとせず、死の直前まで誰にも委譲しませんでした。

 これらのことに鑑みて、情報院が確認した通り、金正恩が金与正に統治権力を分割委譲したのが事実であれば、それはストレスのせいではなく、他の切迫した事情があるのは明らかです。

 私は、ストレス説を主張する情報院の立場とは違い、金正恩の健康不安説に重きを置いています。以前の記事やYouTube配信で、今年4月以降は金正恩の現場指導が急激に減少したことをお伝えしましたが、外部活動ができないほど健康が悪化したと確信しています。

 金正恩の異常な兆候はこれだけではありません。現地指導の回数、外部活動の行動、金与正の過度な権力乱用など、多方面にわたって4月以降は大きく変化しています。

 一例を挙げると、党中央委員会政治局会議のような主要会議を昨年は4回だけ行いました。ところが、今年は8月現在までに同様な主要会議を計11回も開催しています。彼はかつての「ロケットマン」ではなく、「会議マン」、「デスクマン」に成り下がってしまいました。

 今年4月に心臓血管の手術を受けたという北朝鮮消息筋の報道があったことを考慮すれば、現在の異常な行動の原因として健康不安説を支持するしかありません。

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