組が解散したら金は? 出世は? 「神戸山口組の乱」平定でヤキモキな長期服役者
暴排によって、放免祝いもその後の出世も見込めない
しかし、2011年までに全国へ拡大した暴力団排除条例(暴排)などが包囲網を築き、彼らを追い詰めていく。
「服役していた組員をねぎらう放免祝いとかって昔のヤクザ映画見たらようけ出てくると思いますけど。私も冒頭の写真見てもうたらわかるように、竹中正久親分が出所する時に出迎えに行ったんです。でも、暴排であれもできません。出所祝いとして祝儀をもらうのもアウト。あと、検挙前の地位と比べて出所後にえらい出世するのも暴排で禁じられています。犯罪者ではありますが、『組事』と言って組織のために身体を張った功労者ですからね。長期服役を終えたら幹部に取り立てられるというのは常識やったんですが……」
「懲役に行っとるもんがおったら、普通は戻ってくるのを待ってから解散するとかそういう風にするんやけど、最近はそうでもなくなっています。ただね、刑務所いうところは人間交差点やし、なかなか自分を偽れないから人間を見定めるには好適な場所です。スカウトの場になるわけです。力のある組織のもんが“この者は”と見立てた人物がいたら、カネを送るように外部へ指示したりというのもあります。夏やったら素麺代、冬やったら餅代。ああいう状況で手を差し伸べられるのは本当にありがたいからね。あるいは、組がなくなって途方に暮れてるところで、社会にいる家族をサポートしてやったりとか。中にいるもんは義理がたく感じるものです」
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