「血液」「尿」1滴で「がん検査」が可能に 最新検査を受けてみた

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「良性」「悪性」の判別も 検査の正答率は90%

 技術が実用化されたのは4年前の夏。現在では、全国六十数カ所の医療機関で受診が可能で、費用は6万円ほど。これまで、およそ5千人のリスクを調べ、がんの早期発見に寄与してきたという。検査に臨んだ本誌40代後半の男性記者は、血を指先に集めるため、まず左手でグーパーの動作を反復。次にランセットという穿刺針で人差し指の腹を突き、容器のキャップの蓋に血を絞り出す。卓上で遠心分離機が回り、血清をチップに垂らしたのち、スタッフが蛍光顕微鏡で解析したところ、数値は「2610平方マイクロメートル」。ひとまずは罹患リスクが最も低いA判定であった。

「通常、PET(ポジトロン断層撮影装置)―CTでは腫瘍が10ミリ、CTでは15ミリくらいから見つかると言われますが、超早期の発見でがんは完治することがある。そこで5ミリでも見つけようというのがプロテオの手法で、検査の正答率は約90%になります」

 すなわちC判定であれば、精密検査で10人のうち9人にがんが見つかるというわけである。精度は極めて高く、同社は現在、この手法をさらに応用し、

「生体検査をせずに腫瘍が良性か悪性かを判別する『リキッドバイオプシー』(液体生検)の実用化を進めています。すでにヌクレオソームの光る波長が、良性と悪性とで異なることを特定しており、これを数値化すれば10分程度でほぼ100%識別が可能となる。何より、腫瘍が見つかって悩む患者さんの負担が軽減されるのです」

中国、ロシアも狙う技術力

 そんな同社の卓越した技術には、海外からも羨望の眼差しが向けられる。これまでも中国やロシアから業務提携の打診があったといい、

「突然、中国の大学が日本語で電話を掛けきて『我々は“北京の意向”で電話しています』などと、背後に中国共産党がいることを匂わせてきました。またロシアメディアの取材を受けたおかげで元国営企業から長々と英文メールが届いたりしたこともあります。ですが、まずは国内で足固めすべきだと考え、すべてお断りしてきました」

 医療の先端技術が海外に流出しないよう、アベノミクスによる成長戦略を掲げる日本も手を拱(こまぬ)いている場合ではあるまい。それでも、

「昨年は知人を介してサンマリノ共和国からお声がかかりました。私も実際に訪問して温厚な国民性に惹かれ、何かお役に立ちたいと思ったのです。コロナで一時中断していますが、現在、現地でプロテオの事業を始める準備にかかっています」

 前述のリキッドバイオプシーが実用化した後は、新たにがんの部位別リスクスクリーニングの開発に取り組むという。飽くなき探求心が、欧州を席巻する日が来るかもしれない。

週刊新潮 2020年8月13・20日号掲載

特集「年40万人死亡の『国民病』に朗報! 『血液』『尿』『唾液』1滴でリスク判明!! 本誌記者が体験『がん超早期発見』最新検査」より

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