「猫ひろし」は東京で1日30キロ走る日々 カンボジア代表で東京五輪出場の夢を語る
仕事もゼロに
だが、新型コロナウィルスの世界的流行で、状況は一変した。そもそも本当に東京五輪が来年開かれるのか、それを疑問視する声さえ少なくない。マラソンのカンボジア代表が五輪に出場できるかも不明なら、今後の見通しも全く分かっていない。文字通りの“宙ぶらりん”の状態が続いている。
「国籍を変えてからも“在日カンボジア人”として、1年のうち3分の2くらいは日本で仕事と練習を両立させていました。昨年も東南アジア記録大会が終わると、そのまま日本に入国しました。年末年始は日本で過ごし、新型コロナの感染が大きなニュースになった頃も日本にいました。カンボジアに帰国をしようか迷った時期もありましたが、戻れば2週間の室内待機を義務づけられるので練習ができなくなります。結局、日本にとどまり続けて今に至っています」
猫さんには東京五輪を目指すマラソン選手という側面だけでなく、お笑いタレントという顔もある。それも新型コロナで一変してしまった。
「お笑いの仕事だけでなく、マラソン大会のゲストや講演会の依頼もいただいていたんです。それが新型コロナで、ほとんどなくなってしまいました。収入が激減したので、妻に『お金なくなったらアルバイトでもしようか?』と相談したんです。すると『蓄えがあるから、まだ大丈夫。バイトをする暇があるなら、ネタを1つでも作って』と励ましてくれて、あの言葉には助けられました」
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