「猫ひろし」は東京で1日30キロ走る日々 カンボジア代表で東京五輪出場の夢を語る

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東京五輪への想い

 ここで改めて猫さんがカンボジア国籍となり、マラソン選手として東京オリンピックの出場を目指している経緯を振り返っておこう。

 そもそも2000年代にテレビ番組で健脚を披露する機会に恵まれ、マラソンの国際大会に出場することが増えていった。

 2010年にアンコールワット国際ハーフマラソンで3位に入賞すると、カンボジア側からオリンピック代表の打診があったという。

 11年に国籍を変更。ロンドン五輪の出場を目指すことを明らかにしたが、12年に国際陸上競技連盟から「国籍取得から1年未満かつ連続1年以上の居住実績がない」などの理由から参加資格を満たしていないと判断されてしまう。

 猫さんは16年のリオ五輪に目標を切り替えた。そして15年の東京マラソンでは2時間27分48秒の自己ベストを記録。同年の東南アジア記録大会では6位に食い込み、カンボジアの代表選考会では2時間44分2秒で優勝を果たして出場を決めた。

 そしてリオ五輪では完走した140人中139位で、タイムは2時間45分55秒だった。

「五輪で男子マラソンは最終日に開かれます。選手村では食事も節制して本番に備えていたんですが、カンボジア陸連の人に『次は東京五輪だけど、出場を目指すの?』と聞かれたことがあるんです。その時は『まだリオで走っていないから!』と答えるだけで精一杯でした(笑)。それでもリオ五輪が終わってしばらくすると、東京五輪に挑戦したいという気持ちが強くなっていったんです。僕の国籍はカンボジアですけれど、かつては日本が母国でした。その首都で開かれる五輪に出場できたら、これほど素晴らしい体験はないですよね」

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