「二宮和也」「西畑大吾」「美少年」「キンプリ」…ジャニーズと平和の物語

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この子を死なせたくない…なにわ男子・西畑大吾の『ごちそうさん』

 次に、まだCDデビュー前の関西ジャニーズJr.でありながら山田太一ドラマにも出演するなど、役者としての評価を確立しつつあるのが、なにわ男子・西畑大吾である。

 2度の朝ドラ出演歴があるが、今回注目するのはそのうちの1本、2014年に放送され西畑にとって初めてのドラマ出演となった『ごちそうさん』(NHK)である。洋食屋に育った主人公を中心に、タイトル通り、料理にまつわる人々を描いたこの作品。杏が演じる主人公の長男が菅田将暉、次男が西畑大吾という設定だ。

 第20週の後半では、西畑大吾演じる活男が「兵隊さんの『ごちそうさん』になりたい」と、海軍でコックになる道に希望を見出し、志願。息子を危険にさらすことに、当然ながら反対する家族に「同じ死ぬ運命なら、好きなことをやって死にたい」と訴え出征していく。

 視聴者に、この子を死なせたくないと思わせるあどけなさと、若いながらも自分の人生への確固たる意志の強さを同時に表現していた。それは、とても西畑が平成生まれとは思えない、戦争に人生を揺さぶられる若者の姿だった。

 そして、そんな西畑大吾が憧れの先輩として名前をあげるのが嵐の二宮和也である。

 そもそも二宮和也は、まだ嵐としてデビューする前、初めて出演したドラマが『天城越え』(NHK・1998年)。昭和どころか、大正の少年を演じてもハマっていた。

二宮和也のために新たな役が作られた『硫黄島からの手紙』

 そんな二宮の“古き時代の日本男児”っぷりが世界的に認められたと言っても過言ではないのがクリント・イーストウッド監督の映画『硫黄島からの手紙』(2006年)だ。硫黄島の戦いを、米国視点の『父親たちの星条旗』、日本人視点の『硫黄島からの手紙』と2本を使って描いたうちの1本だ。

 二宮和也はオーディションで選ばれたが、クリント・イーストウッド監督はオーディションで二宮を見て、新たに役を作ったほど感銘を受けたという。そのためか、正直、出来上がった作品は、他にも渡辺謙などのベテランの役者がいるものの、二宮和也の主演作品だろうか、というほど存在感が際立っていた。特に二宮が演じる西郷のラストシーンは、強さと哀しさ、戦争の理不尽さ……言葉にしきれないすべてのものを表現した秀逸なものだった。

 先述のように、直接的な反戦メッセージを強くは発信しないジャニーズ事務所。だが、ジャニー喜多川の人生の根底には、辛い戦争体験が存在している。半世紀以上の時を経て、こうして所属タレントの作品が世界にも羽ばたいていくことが、ジャニー喜多川の最大の“反戦運動”なのかもしれない。

霜田明寛(しもだ・あきひろ)
1985年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業。9歳でSMAPに憧れ、18歳でジャニーズJr.オーディションを受けた「元祖ジャニヲタ男子」。就活・キャリア関連の著書を執筆後、4作目の著書となった『ジャニーズは努力が9割』(新潮新書)は3刷を突破。 また『永遠のオトナ童貞のための文化系WEBマガジン・チェリー』の編集長として、映画監督・俳優などにインタビューを行い、エンターテインメントを紹介。SBSラジオ『IPPO』凖レギュラー。

週刊新潮WEB取材班編集

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