「二宮和也」「西畑大吾」「美少年」「キンプリ」…ジャニーズと平和の物語

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国分太一の『広島 昭和20年8月6日』…“黒い雨”の中で

 美 少年のメンバーも、この舞台で戦争のシーンを演じてきた。そこでは当然、昭和の若者を演じるわけだが、鑑賞時に、その時代に生きている青年のように見えた記憶がある。

 美 少年はジャニー喜多川・肝入りのジャニーズ王道のグループ。グループ名の通り、美形が揃っているが、現代の美形であると同時に、これまでジャニー氏が率先して選んできた、昭和顔の趣もある系統の顔立ちである。

 近年、EXILEを擁するLDHが送り出すイケメン若手グループが、成熟した資本主義社会に育った現代的な顔立ちで、体育会系の香りがするのと比べると、ジャニーズは文化系で、どこかに陰を感じさせるタレントが多い。表情に悲しさが漂う瞬間もあり「戦争中に苦労してきた」という設定で登場しても、しっくりくる。

 そう、ジャニー喜多川が選んだジャニーズタレントたちは、現代的な人気を得ることもできながら、どこかにジャニー喜多川が生きた昭和の時代を感じさせる雰囲気があり、戦争を生き抜く若者を演じてもハマるのである。

 そこで本稿の最後に、“昭和の若者を演じてもハマる”ジャニーズタレントが出演する戦争を描いた作品を3作紹介したい。

 まず、2005年の夏にTBSの戦争を題材とした特別ドラマ「涙そうそうプロジェクト」の1本として放送されたのが『広島 昭和20年8月6日』。

 広島に原爆が落ちる“まで”の日常の日々を描くことで、原爆が落ちるとこと、彼らの命が絶たれてしまうことの悲惨さが際立つようになっている構成は、長崎に原爆が落ちる前日の市井の人々を描いた黒木和雄監督の映画『TOMORROW 明日』にも近い。

 松たか子・長澤まさみ・加藤あいが演じる広島に生きる3姉妹を演じた本作に、国分太一が出演。当時の国分太一はまだ役者業もさかんにやっていた頃で、昭和に生きる青年を演じたNHKドラマ『トキオ 父への伝言』(2004年)や、本作と同じく坊主姿で落語家を演じた映画『しゃべれども しゃべれども』(2007年)など、どこか古風な役を演じるとハマっていた。

 このドラマでの国分は、出演シーンこそそう多くはない。だが、“黒い雨”を浴び叫喚する場面など、原爆が落とされた街の悲惨さや残された人の悲しみを表現する、非常に重要な役を担っている。

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