「徴用工」はもう一つの「慰安婦」になり、取り返しがつかなくなる

国際 韓国・北朝鮮

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歴史問題に政治が絡んでくると、そう簡単にはいかない

 このままだと徴用工問題はもう一つの慰安婦問題になって、日韓両国は数十年の反目や葛藤を繰り返すに違いない。日韓関係は取り返しがつかなくなってしまうだろう。

 この間、韓国社会を騒然とさせた「正義連問題」 によって明らかになったように、徴用工問題にも韓国内の特殊な政治的事情 が複雑に絡まっているようである。「正義連問題」は、慰安婦の支援を行ってきた正義連の精神的支柱が国会議員になった直後に慰安婦のシンボルからこれまでの犯罪行為を暴露され、検察が捜査を進める事態となったことを指す 。

 徴用工問題も、いたずらに日本の反発を煽って、その報復を待つ他ない状況を迎えるというのは、韓国に利益があるはずがない。安全保障的にも日米韓にメリットは何もない。歴史問題に政治が絡んでくると、そう簡単にはいかないものである。

 和解とは、対立する主張を互いに譲歩し合って、話し合いによって解決することなのであるが、そこに政治問題が入り込んではいけない。そういった意味で、日韓両国の真の和解の条件は、まだ整っていない。和解に、歴史に、国家や民族の問題を持ち込まないこと、歴史に対する認識不足、あるいは過剰を警戒すること、これこそ日韓両国の真の和解の条件である。これは「国家の理性」に関する問題でもある。

李東原(イ・ドンウォン)
日韓関係史が専門の評論家

週刊新潮WEB取材班編集

2020年8月14日掲載

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