プロ野球、コロナ感染恐れて観戦せず…チケット転売が横行で球団公認リセールを
新型コロナウイルスの感染防止を目的に無観客で行われていたプロ野球が、7月10日に有観客で開幕してから1か月が過ぎた。コロナを恐れてのことだが、インターネット上では試合の入場チケットの不正転売が横行している。
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政府によるイベント開催制限を受け、試合の入場者数が上限5000人とされているため、チケットが「プラチナ化」していることが不正転売の背景にある。一方、当初からチケットを購入していた人が、球場でのコロナ感染を恐れてネットのオークションサイトに出品しているというケースも目立つ。
チケットの転売はファンの公平・公正な試合観戦の機会を奪うとして、プロ野球の「試合観戦契約約款」で禁じられている。が、コロナ感染を恐れて入手したチケットの利用に二の足を踏むファンの気持ちを考えると、入場券を再販できる球団公認のリセールの仕組みが本格的に整備されるべきではないだろうか。
「今年はチケットが少ないのに、チケット転売に関して球団に寄せられる情報は既に100件近くまで上り、例年の5~6倍に急増しているという印象だ。正規の販売価格の3倍近い値段のものもあるが、出品者になかなかたどりつけず、球団として取り締まるのには限界がある」
と、ある球団幹部はこう頭を悩ます。
約款や法律で転売規制するが、転売サイトでは野放しも
まず前提として、プロ野球の入場券を主催球団が払い戻すのは、原則、降雨などにより試合が中止になった場合のみだ。これは、「殿様商売」のプロ野球の性質も一つの要因ではあるだろう。もっとも、払い戻しを無制限に認めてしまうと、発売開始時、「実際に観戦に行けるかどうかはともかく、とりあえず大量に申し込み、確保できるだけチ確保する」といった行為を容認しかねず、現状の主催者側の対応に、ある程度の理解はできる。他のスポーツやコンサートなどの興行イベントも、同様の対応が取られるケースが多い。
さらに、日本プロフェッショナル野球組織とセ・パ12球団が設ける「試合観戦契約約款」では、主催球団の許可を得ることなく入場券を転売することが禁じられている。不正転売を行った者が球場への入場拒否、将来のチケットの販売拒否などの処分を受けるほか、転売チケットで入場した人も同様の処分を受けることがありえる。なお、約款の転売禁止条項には例外規定もあり、営利を目的にせずに家族や友人、取引先などにチケットを無償譲渡することは、原則認められている。
また、プロ野球の入場券を含むスポーツイベントや音楽コンサートの興行チケットの転売は、昨年6月に施行されたチケット不正転売禁止法により、「業としての転売」が禁じられ、罰則規定も設けられている。ただ、同法は、単なる転売ではなく、「業としての転売」を禁じているため、一度に大量のチケットを出品したり、継続的にチケットを出品したりするケースは規制対象となるが、単発で数枚を出品したケースなどを摘発するのは難しいとされる。
このため、メルカリやヤフオクといった主流のオークションサイトでは、チケットの大量出品者や反復継続性の高い出品者については、「業としての転売」とみなして出品情報を削除するなど対処しているが、単発で数枚のチケットを出品しただけのケースでは、野放しになっているのが実情だ。
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