ALS嘱託殺人の山本容疑者、空白の6カ月にフィリピン「セブ島」でやっていたコト

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日比の経済交流促進に意欲

 山本容疑者がフィリピンに日本人向けのクリニックを開設したのは18年7月。場所は、リゾート地として世界的に知られるフィリピン中部のセブ島で、「セブ・ジャパニーズ・クリニック」と名付けられた。現地の会報誌で、山本容疑者はこんな抱負を述べている。

「日本人の方のため、万が一にも健康を損ねた場合のセーフティネットとして機能することを目的として開設いたしました。日本人の健康管理に資することで、留学生の安心や進出企業の増加に寄与できれば、日比の経済交流の促進にも結果的につながるものと考えております」

 クリニックにはレントゲンをはじめ、CT・MRI、超音波検査、内視鏡検査、人工透析など高度な医療設備が整っていた。入院施設はないが、外来通院で可能なほぼすべての医療が提供できると謳い、人間ドックも受け付けていた。何よりも、セブ島で初の「日本人医師常駐」が最大の売りだった。

「日本人医師が常駐することで、臨床診断・治療のクオリティーを担保することができ、旅行者・留学生・駐在員などの方にとっては、日本におられる時とほとんど変わらない医療を提供できるものと確信しております」(前述の会報誌)

 山本容疑者は理事という立場でクリニックの運営に携わり、実際に医療行為を行うのはもう1人の日本人医師だった。当時、山本容疑者に会ったことがあるという、事情に詳しい関係者はこう語る。

「山本さんは日本がベースで、出張で数日セブ島に行くような感じでした。東南アジアのどこに滞在しようか迷った挙げ句、セブ島に決めたと言っていました。クリニックの開業には友人と2人で出資したそうです。ブランド物を身に着け、お金を持っている印象を受けました」

 クリニックは大々的に宣伝され、約3000人いるセブ島の在留邦人社会にとっても画期的だった。しかし、そこには落とし穴が潜んでいた。

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