夏の甲子園「上田まりえ」が今も忘れない名勝負 2004年「済美VS中京大中京」

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2004年の接戦

 新型コロナウイルス騒動はいまだ沈静化する兆しがなく、この春に続いて夏の甲子園大会も中止される。球児たちの晴れの舞台である甲子園で、その躍動する姿、そしてそこから生まれるであろう名勝負の数々を、残念ながら今年は眼に焼き付けることができないのだ。

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 そこで、高校野球が大好きなのに、その試合の数々を堪能することができないファンのために、大の高校野球通でもある著名人に、過去の夏の甲子園大会から忘れられない名勝負1試合を選んでもらい、その感動したポイントについて語ってもらうことにした。

 今回、語っていただくのは、地元・鳥取県で高校時代に高校野球の夏の県大会でウグイス嬢を務めた経験もあるという、元・日本テレビアナウンサーで、現在はタレントの上田まりえさん。大学の卒論にも高校野球に関するテーマを選んだという彼女が選んだ1試合とは?

――早速ですが、高校野球好きとしても知られる上田さんにとっての“夏の甲子園で私の心を震わせたこの1戦”を教えてください。

上田まりえ(以下、上田):私が選んだのは、2004年・第86回大会の準々決勝第1試合、“済美(愛媛)対中京大中京(愛知)”の一戦です。

甘井謙吾選手の打力

――というと、上田さんにとっては高校時代、まさに同学年、3年生の選手たちが甲子園で躍動した年の試合ですね。ちなみに済美はこの年の春の選抜で春夏通じて甲子園に初出場して、しかも初優勝しています。

 そして夏も優勝すれば、春夏ともに初出場で春夏連覇達成という高校野球史上初の快挙を狙ってました。

 そんな状況で迎えたこの一戦は、1対1の同点9回裏に済美が劇的なサヨナラ勝ちを収めるという展開でした。この1勝で史上初の偉業まで、あと2勝と迫った貴重な試合となったワケですが……。

上田:選んだ理由は、このときの済美の1番バッターでセンターを守っていた甘井謙吾選手の存在に尽きます。この試合の1回裏に好投手といわれた小椋健太(東邦ガス)投手からいきなり先頭打者ホームランを打ったんです。あの先頭打者ホームランが本当に忘れられないんですよ。打った瞬間に入ったっていうあの興奮ですね。

 甘井選手って、本当に打つ選手だったんですよ。そんなに背は大きくないのに遠くへ打球を飛ばせる打力にも感動しました。

 さらに外野守備も上手かったですし、こちらが勝手に親近感を抱いてしまう雰囲気もあったので、ずっと応援していたんです。

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