ゴーン逃亡を助けた高野弁護士 わいせつ医師の裁判で逆転有罪
宮崎駿作品の「となりのトトロ」になぞらえた、「となりの手越」なるワードがSNSで話題となった。6月、手越祐也のジャニーズ退所会見に同席した高野隆弁護士が、ジブリの巨匠とそっくりだったからである。だが法曹関係者は、“何してんだか”と鼻白んでいる。
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「たしかに、“刑事弁護界のレジェンド”と呼ばれるだけの実績はあるけどね」
と、さるベテラン弁護士が嘆息する。
「“宮崎駿似”と騒がれただけでなくポーズなんか決めちゃって……。彼は刑事弁護で多くの被害者や遺族の方とかかわります。そういう方たちが写真を見てどう思うか考えないのかな」
溜め息の理由はまだある。
「“無罪請負人”の弘中惇一郎弁護士と組んでカルロス・ゴーンの代理人を引き受けましたが、昨年末、見事に逃げられた。彼らがやったのは高額な報酬をもらって、結果的に海外逃亡をお膳立てしたということに尽きます」
それなのに高野弁護士は、謝罪するどころか、自身のブログで〈密出国を全否定することはできない〉とゴーン擁護。つい先日は「手越のとなり」で浮かれていたわけだが、一転して厳しい事態に陥っている。刑事弁護で逆転有罪をくらったのだ。司法記者によると、
「7月13日、女性患者の胸を舐めたとして準強制わいせつ罪に問われた、乳腺外科医の控訴審判決です。東京高裁は一審地裁の無罪判決を破棄し、懲役2年の逆転有罪を言い渡しました」
逆転有罪は初めて
弁護側は即日上告。判決後会見の席上で、高野弁護士は、“非常識で非科学的な判決だ”と憤慨していた。
裁判の主な争点は、「術後せん妄」の作用。乳房の腫瘍の摘出手術後、女性が麻酔から覚める際に生じる意識障害の影響である。医師側はせん妄による幻覚があったと主張し、女性側はそれを否定。舐められたと訴える迫真性に富む証言の信用性が勝った形だ。女性の代理人、上谷さくら弁護士が語る。
「せん妄の影響のほか、女性の左胸から検出された被告のDNA量もポイントでした。一審は、“舐めたという仮説は有力だが、その他の可能性を排斥できないから無罪”という判決。手術中の会話の唾液である可能性などが指摘されたのです」
高裁はその可能性を、被告の唾液が飛んだ可能性は低いとして退けた。女性の左胸により近い位置にいた、別の医師のDNAが検出されていないといった理由だ。
「高野弁護士は、会見でも“DNA鑑定の際の抽出液が廃棄されている”と不当性をアピールしていました。しかし、事件後に乳首を拭ったガーゼの半分、つまり鑑定試料はいまも保管されているんです。そこは誤解のないよう正確に話してほしかったです」(同)
対する高野弁護士本人は、
「鑑定を裏付ける客観的な証拠がないんです。試薬が変色した証拠写真もなく、実験結果を記録するワークシートも鉛筆書きで、消しゴムで消された跡が9カ所もあるんです。高裁判決の事実誤認を訴えていきます。僕自身の経験は完全無罪の判決が18回。逆転無罪となったことはありますが、逆転有罪は初めてです。今回のようなケースも、ゴーンさんの件で僕が世間から誹謗中傷を受けたことも、刑事弁護をやっている以上、宿命だと思っていますよ」
最終決着は最高裁の判断が待たれる。