「テレワーク導入」の難題 人材育成の難しさ、若手社員の流出も

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 巷で話題のCMでは“がんばるな”と視聴者に訴え、通勤が諸悪の根源であるかのようにテレワークを推奨してくる。生産性向上、自由な働き方だと聞こえはいいけれど、安易な導入にはさまざまな難題が……。ともすれば、大量クビ切りに繋がりかねないその実態とは。

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〈がんばるな、ニッポン。〉

 ひとたび会社に入れば、家庭を顧みず、長時間残業は当たり前、終身雇用ゆえ、定年まで会社に身を捧げるのが鑑とされてきた。

〈24時間戦えますか?〉

 バブル真っ盛りの頃、モーレツサラリーマンをそう鼓舞していたのもいまは昔。

〈経営者のみなさまへ 通勤をがんばらせることは、必要ですか?〉

 昨今、新型コロナウイルスが猛威を振るう中、ソフトウェア開発のサイボウズ株式会社が流すCMがある。その終わりには、

〈がんばるな、ニッポン。〉

 かつての企業戦士からすれば、“がんばるな”には隔世の感を覚えるだろうが、そう呼びかけるサイボウズの青野慶久社長は、同社でかねて進めていたテレワークをコロナ禍でほぼ100%実現したという。過去のインタビューでも、

「テレワーク環境の確保が企業存続のベースライン」

 とまで発言する“テレワーク推進論者”である。

 確かに春以降、世間では猫も杓子もテレワークといった観がある。人事や人材育成に関するシンクタンク、パーソル総合研究所によれば、4月の緊急事態宣言後、企業のテレワーク実施率は13・2%から27・9%に倍増している。

各社の対応は

 解除後はオフィスへ回帰する傾向が強まっているものの、7月に入ってから、東京都を中心に全国で感染者が急増。それを受け、現下、西村康稔コロナ担当相は、社員の7割をテレワークとするよう改めて経済界に呼び掛けている。

「Go To トラベル」で地方への旅行を推奨しながら、一方で在宅勤務を要請するという政府のちぐはぐさにため息が出るばかりだが、実際、大企業ではテレワークを積極導入しているところが多々見受けられる。

 例えば、富士通。緊急事態宣言後、国内の約8万人の従業員を対象にテレワーク勤務を基本とし、解除後も出社率を25%に抑える意向を明らかにしている。

 富士通広報によれば、

「7月から順次開始しております。“通勤定期代を支給せず実費精算に”“テレワーク環境整備費用として月5千円を補助”“単身赴任を解消する”などの取り組みになります」

 テレワークを進めることで、2022年度末にオフィス面積を半分にするという力の入れようだ。

 またカップラーメンでお馴染みの日清食品ホールディングスでは、同じく25%の出社率に抑えるため、「予約出社制」を導入している。

 同社広報担当者は、

「工場など生産部門は別として、予約出社制でソーシャルディスタンスを確保した新しい働き方を推進しています。部署ごとに2、3週間に1度、所属員の意向を確認、出社人数が25%以下になるよう調整しています。もし、それを超える日があれば、『Aさんは出社しないといけないから、Bさんはテレワークで、代わりに〇日に出社して』と臨機応変に対応します」

 出社したくてもできない、とは、なんとももどかしいだろうに。

 こうした企業が多いのも、通勤や会社での3密を避けられる、という緊急避難的な意味合いがあるのに加え、家族との時間が増えるといった点でも導入のメリットがあるからだろう。

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