警官宅に強盗、逮捕後に急死… 容疑者は28年前、世間を恐怖に陥れた凶悪犯だった

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「カネを出せ! 騒ぐと殺すぞ!」

 7月30日の深夜2時過ぎ、神奈川県・横浜市の住宅街で女性の悲鳴が響き渡った。

 リビングで就寝中だった60歳女性の首を締めて、こう脅したのは68歳の男だった。だが次の瞬間、彼は背後から屈強な男に取り押さえられた。

 別室で騒ぎを聞いた息子が駆け付けたのだ。しかも、息子は柔術の心得のある現職の警察官。古希に近い犯人に勝ち目などない。

 息子は暴れる犯人を「袈裟固め」で抑え込んで現行犯逮捕し、すぐさま110番した。

 まさしく飛んで火にいる夏の虫。これにて事件は一件落着となるはずだった。

 ところが、ここから事件は急展開を見せる。通報を受けた警察官がすぐに臨場したが、男は急性心機能障害を起こし意識不明の危篤状態になってしまったのだ。急遽、病院に搬送されたが午前6時46分、そのまま帰らぬ人となった。

 男の名は、村田信男。

 翌日、各紙は県版でこの一件を報じたが、村田の名が載ることはなかった。

 神奈川県警担当記者が解説する。

「本来、強盗未遂という凶悪犯なので実名報道が原則です。ただ今回のケースでは警察が駆け付けたとき、村田は心肺停止状態だったため、一度釈放した扱いにして病院に搬送しているのです。そして、そのまま死んでしまった。だから、警察は匿名で発表し、我々もそれに従って匿名報道にしたのです。結果として、村田の名前が表に出ず県警はほっとしていたと思いますよ。犯人の名前が世に知られれば、あの“トラウマ”が蘇ってきますから」

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