改めて「人は2度死ぬ」を考える 映画「リメンバー・ミー」を観て(古市憲寿)
「人は2度死ぬ」という有名な考え方がある。1回目は生物学的な死、2回目は記憶上の死というわけだ。
「リメンバー・ミー」は、2度の死をテーマにしたディズニー映画だ。主人公の少年は死者の国に迷い込んでしまう。その世界では、死んだはずの者たちが楽しく暮らしているのだが、全ての生者から忘れられてしまうと2度目の死が訪れる。
よくできた映画だと思うのだが、不満があるとすれば悪人の位置づけが不明なこと。「リメンバー・ミー」のような死者の国があれば、アリストテレスから仏陀、イエス・キリストはもちろん、ジョン・レノンやエルビス・プレスリーまで古今東西の有名人が暮らしているはずだ。...