WHOの責任は棚に上げ、台湾批判のテドロス事務局長 中国の陰謀という指摘

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台湾の報告を無視したWHO

「怒った台湾は4月11日、中央感染症指揮センターの記者会見で、昨年12月31日、WHOに武漢で肺炎患者の隔離治療が行われていることを伝えたメールを公開したのです」(同)

 中国が、武漢で原因不明の肺炎が27例、うち重症が7例確認されたと発表したのは12月31日のことである。

「その前日の30日、武漢の李文亮医師がSNSの投稿で新種のウイルス性肺炎の大流行を警告しています。投稿には検査報告や胸部CTの画像が添付されていました。台湾衛生福利部疾病管制署(CDC)の羅一鈞報道官が31日に李医師の投稿を見て、その日のうちにWHOに報告したのです。人から人への感染とは明言していませんが、患者を隔離して治療を行っていると伝えたそうです。医療の専門家なら、隔離していることは人から人への感染の疑いがあると認識します。ところが、WHOは台湾の報告を完全に無視したのです」(同)

 WHOは1月14日の声明でも、「人から人への感染は確認されていない」と発表している。

「09年から16年まで続いた国民党の馬英九政権は対中国融和路線でしたから、台湾はWHO総会にオブザーバー参加していました。ところが、民進党の蔡英文政権が発足した16年5月から、オブザーバー参加ができなくなったのです。背後で中国が糸を引いていることは明らかです」(同)

 WHOが台湾の報告を無視したことが、コロナのパンデミックを招いた一因と言われても仕方あるまい。

「WHOが台湾の報告を世界に伝えていれば、国境封鎖などが早い段階でできて、今のような爆発的感染拡大は防げた可能性があります。WHOに無視された台湾は1月2日、台湾衛生福利部は専門家を集め伝染病予防治療諮問会を開き、コロナ対策に乗り出しました。この初動の早さがコロナを封じ込めた大きな要因です」(同)

 やはり、テドロス事務局長の責任は重大と言わざるを得ない。

週刊新潮WEB取材班

2020年8月5日掲載

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