日テレ「リモートで殺される」、なぜ敢えて「続きはHuluで」商法をやったのか

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SNSは大荒れ

 映画でもドラマや小説でも、ミステリーやサスペンスなら、1.「誰が犯人か?」2.「誰がどうやって殺されたのか?」3.「犯人(共犯者)の動機と目的は何か?」は最低限、最後には明かされる。この3つが最後までわからないと、読者や視聴者は強烈な消化不良感や欲求不満感に苛まれることになるからだ。

 このドラマでは、主な登場人物のうち何人かが殺されていく(少なくとも殺されていくように見える)のだが、『リモートで殺される』(地上波版)では何と最後まで、その犯人がわからないのだ。犯人が分からない以上、その動機や目的もわからず終い。

 そして番組最後、ネットでは悪名高きあの1行がテレビ画面に出ることになる。

「続きはHuluで」

「話にならない」という言い方は日頃の生活でよく使うが、この「リモートで殺される」は本当に文字通り、地上波バージョンだけ観ても「話にならない」のである。

 これは今まで日テレがやってきた地上波→動画配信サービスへの誘導とは、次元が全く異なる。今までは地上波でやっていた本編は本編として完結した上で、それと関連する「その後の話」やそれまでサブキャラだった登場人物の視点から見た「スピンオフストーリー」だったり、「総集編」を動画配信サービスで見せるという形だったのだ。

 今回の「リモートで殺される」では、そのHulu版である「リモートで殺される 殺人の裏側編」を観ることで、犯人やその共犯者が誰か、そしてその動機は何なのかが初めてわかるという構造になっている。

 別角度から言うと、地上波しか観ないと決めている人にとって、この1時間のドラマの事件の全貌はわからないまま終わってしまうのだ。

 案の定、放送終了直後からツイッターなどのSNSは大いに荒れた。それはそうだろう。犯人がわからないまま、いつもの「続きはHuluで」とされたのだから。

 公平に言えば、Huluでは「お試し利用」というものがあり、少々面倒な登録作業を行えば「1ヵ月無料視聴期間」できるので、Huluへの登録を行い「リモートで殺される 殺人の裏側編」を視聴後解約してしまえば無料で観られると言えば観られる。

 しかし、そのことはさておき、日曜1時間、それなりに楽しみにして観た地上波のミステリードラマで最後まで犯人がわからないまま、「犯人を知りたければ、同じ局の関連動画サービス・Huluに加入せよ」と、まるで“目の前にニンジンぶら下げられた馬扱い”をされたことに視聴者は怒ったのだと思う。

 私も正直、ドラマを観た直後は腹立たしいと思ったし、そのあまりに露骨な手法に驚きもした。

 しかし、その一方で、こんなことも思っていた。

 「こんなことをすれば、いくら何でも視聴者が不愉快に思うことくらい、プロ中のプロである制作スタッフはわかっているだろう。SNSの“炎上商法”と言ったところで限度もある。なら、どうしてこんな露骨なことまでする必要があるのだろう」と。

 少し調べてみると、「そこまでやらなければ、今のテレビ局とその関連動画サービスはたしかに厳しいのかもしれない」ということに思い当たった。

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