日テレ「リモートで殺される」、なぜ敢えて「続きはHuluで」商法をやったのか
誘導
Huluはアメリカに本社がある動画配信サービスだ。日本では2011年からサービスが始まったが、2014年、日テレの完全子会社が日本向けのサービス権を承継した。それ以降、日本テレビ系の有料動画配信サービスという性格を強め、日テレが製作したテレビドラマのスピンオフ作品や総集編もHuluオリジナルとして手掛けられている。
いわゆる「“続きはHuluで”商法」というものがある。これは、地上波ドラマ終了時にその作品の「スピンオフ作品」「総集編」などの番組の存在を地上波で告知し、その番組は日本テレビ関連動画サービスHuluで観られるのでそちらに移動して観るように、と“誘導をかける”手法のことだ。
Huluに限らず、在京キー局が運営する動画配信サービスには他にも、「FOD」(フジテレビ)、「Paravi」(TBSテレビ/テレビ東京)、「NHKオンデマンド」(日本放送協会)や在京キー局共同の見逃し配信サービス「TVer」などがあり、それぞれ地上波に関連する動画配信サービスへの誘導は、普通にある。
にもかかわらず、そうした動きを一括して「“続きはHuluで”商法」などと呼びたくなるのは、いい悪いはともかく、地上波から動画配信サービスへの誘導に関してはHuluが一番目立っていたからだと思う。
Huluの「地上波から動画配信サービスへの誘導」がネットで話題になったのが、2017年の連ドラ「愛してたって、秘密はある。」最終話の終了直後に「本当の解決編はHuluで」とやって以降のようだ。
その後、そうした誘導には例えば以下のようなものがあった。
*2018年
・「トドメの接吻(キス)」(地上波)→「トドメのパラレル」(Hulu)
・「崖っぷちホテル!」(地上波)→「崖っぷちホテル!~本日のお客様は、宇海直哉様~」(Hulu)
「ゼロ 一獲千金ゲーム」(地上波)→「ゼロ エピソードZERO 後藤ミツル編」(Hulu)
・「今日から俺は!!」(地上波)→「今日から俺は!! 未公開シーン復活版」(Hulu)
*2019年
・「ボイス 110緊急指令室」(地上波)→「ボイス 110緊急指令室 CALL BACK」(Hulu)
・「3年A組 -今から皆さんは、人質です-」(地上波)→「3年A組 –今から皆さんだけの、卒業式です-」(Hulu)
・「あなたの番です」(地上波)→「扉の向こう番外編 過去の扉」(Hulu)
・「ニッポンノワール -刑事Yの反乱-」(地上波)→「ニッポンノワール -刑事N・Uの告白-」(Hulu)
これらは地上波連ドラの終了後、「最終話以降の話」だったり、「主人公とは別の視点から観たドラマ」だったりと、その連ドラを楽しんでいたものならそれなりに楽しめるものになっていたと思う。
いずれにせよ、地上波とHuluのドラマの連動関係はこれまではあくまで「主…地上波/従…Hulu」という関係ではすべてが共通していた。
しかし、今回の「リモートで殺される」だけは、そこは異なる。今回は地上波だけでは完結しなかった。
いいや、「完結しない」などと言うのは、少し控えめな“良い言い方”だろう。正しく言えば地上波だけを観てもこのドラマは「全くわからない」のだ。
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