10代のカリスマ「山之内すず」とは何者なのか?

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「芸能人で『すず』と言えば?」と問われたら、あなたは誰の名前を挙げるだろう。中高年層はほぼ間違いなく広瀬すず(22)だろうが、10代は圧倒的に山之内すず(18)だ。地上波テレビのデビューからまだ1年。右肩上がりで人気上昇中の山之内すずとは何者なのか?

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「山之内すず? 聞いたことがないなぁ」。そう言う中高年層もいるだろうが、おそらく目にしたことはあるはず。

 ミニストップの新商品「ハロハロ果実氷メロン」のCMで元気にパラパラダンスを踊っている。キャッシュレス決裁「PayPay」のCMでは宮川大輔(47)と共演し、牛丼を食べていた。

 無論、ご存じだった人も多いに違いない。なにしろ、最近はテレビ番組への出演が数多い。7月19日(日)には、まずTBS「サンデー・ジャポン」に生出演。次に日本テレビの「スポーツ撮れちゃった!フィルムフェスティバル~2020夏~」に出て、さらに「林先生の初耳学!」(TBS系)にも登場した。

 レギュラー出演番組こそないものの、ほぼ切れ目なく各番組にゲスト出演している。なぜ、番組側が山之内にラブコールを送り続けるかというと、彼女が出演すると若い視聴者が取り込めるからだろう。特に十代の間での山之内人気は過熱気味と言えるくらいなのだ。

 山之内のTikTok(モバイル端末向けショートビデオのプラットフォーム)のフォロワー数は53万4000人にも上るが、その大半は十代とされている。実際に見たところ、なるほど十代を引き付けるはずだ。

 目立つのは動画の投稿。仕事の合間などに踊る。リズム感が抜群にいい。昭和のディスコダンスとは全く次元が違う。映画「千と千尋の神隠し」のカオナシのメイクで踊ることもあり、ユーモアのセンスにも満ちている。日常生活やショートコントも公開している。どの動画にも共通しているのは明るいことだ。

 引退した安室奈美恵さん(42)がファンを魅了した理由の一つは卓越したダンスの才能だったが、山之内のダンスも強力な武器に違いない。なにしろ小中高の体育の授業でダンスが教えられている時代で、ダンスがうまいと尊敬の的になるのだから。

 美人でもある。テレビでぼんやり眺めている限りでは、学校に一人か二人はいそうな少女なのだが、TikTokやインスタグラム(フォロワー数約26・6万人)を見てみると、図抜けた美少女である。特に、大きくて、やさしそうな目が魅力だ。

 自分の言葉で話すところにも十代は好感を抱くのではないか。借り物の言葉を使わないし、難しい問題から逃げることもしない。

 5月24日、「サンデー・ジャポン」に出演した山之内は、恋愛リアリティーショー「テラスハウス」(フジテレビ)への出演後にSNSで猛攻撃を受け、自死を遂げた木村花さん(享年22歳)の問題について、こう語った。

「誹謗中傷している人はあと何人亡くなれば自分の愚かさに気づくんだろうなと思う」(山之内の「サンデー・ジャポン」での発言)

 仕事先であるテレビ局が絡む問題の場合、「難しいですね」「残念です」などと、かわす芸能人も多いが、山之内はそうしなかった。

 また、山之内自身がネットのAbemaTVの恋愛リアリティー番組「白雪とオオカミくんには騙されない」に出演した際に、誹謗中傷を受けたことを毅然と明かした。

「毎日数十件『死ね』だとか、個人情報をさらされた」(同)

 これらの発言はSNS上で物議を醸したが、山之内はひるまなかった。

「自分の中で間違ったことは言ってないっていう確信を持ってから発言します」(2020年6月25日付デイリースポーツ)

 美人でダンスの才能が傑出していて、この言葉。十代が熱烈に支持しても不思議な話ではない。この人気はやがて中高年層にも広がっていく気がする。

 地上波テレビ初出演から丸1年。その前は何をしていたかというと、神戸のごく普通の高校生だったという。オーディションなどを受けたこともない。

 ところが、乞われてやったサロンモデルの写真をインスタグラムに投稿したところ、それを見た現在の所属事務所からスカウトされ、上京した。令和らしいシンデレラストーリーだ。

 その会社とは株式会社リアレーションで、一般的な芸能プロダクションとは様相が異なる。戦略PR・総合マーケティング企業で、広告代理店業や動画・映像制作などをやりながら、山之内らも擁している。

 同社の公式ホームページによると、山之内の身長は163センチでスリーサイズは上から76・56・81。芸能プロダクションには、タレントのスリーサイズを公表しないところも少なくないが、こんなところも同社の異質さが表れている。山之内人気はSNSからブレークしたが、これも同社の戦略なのかも…。

 さて、山之内は神戸出身なので、普段使うのは関西弁らしい。7月27日から4夜連続で放送されたNHK・Eテレの「ボクを食べないキミへ~人生の食敵~」の事前インタビューも関西弁だった。

 山之内が苦手な食べ物に挑む番組。その一つはシイタケだった。

「シイタケはホンマに駄目なんですよ。いつからって言われても分からへんほど昔からやし。克服したいっていう気持ちすらなかったです。別に食べれずに生きていきたいって」(NHKホームページの動画より)

 サバ缶も苦手なのだという。

「サバ缶はもともとホンマめちゃ好きで、ずっと食べてて。開けると、すぐ食べられるじゃないですか。レンチン(レンジでチン)とかせんでもいいのが楽すぎて。ずっと食べていたら、やっぱり飽きちゃって」(同)

 やはり言葉を飾らない。

 11月公開予定の映画「人狼ゲーム デスゲームの運営人」に出演するなど女優としての期待も高まっている。消費意欲の高い十代に人気が高いと、テレビも映画も出演を望む。引っ張りだこになる。

 今はレギュラー番組がないが、地上波のテレビ番組のレギュラー出演が決まるのは約8カ月前から約半年前。来年4月には何本も番組を持つのではないか。

高堀冬彦(ライター、エディター)
1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長。2019年4月退社。独立。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年8月4日掲載

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