徴用工「差押え株式」現金化開始、日本企業撤退リスクで韓国国民が払うツケ
「8・4」が近づいている。韓国大法院(最高裁)が日本製鉄(旧新日鉄住金)に対し、徴用被害者1人あたり1億ウォン(約900万円)の賠償を命じた問題。裁判所からの「韓国内資産の差し押さえ命令」を伝える「公示送達」の効力が4日から発生するため、原告側は日本製鉄と韓国鉄鋼最大手ポスコとの合弁会社「PNR」の株式を売却し、現金化できる。現金化がなされれば日本政府は相当に厳しい策を講じると表明しており、韓国がどこまで踏み込めるのかがポイントとなりそうだ。
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元徴用工への補償は、2005年8月、当時の盧武鉉政権が「1965年の請求権協定で日本から得た無償3億ドルの経済協力金に、徴用工の補償資金も含まれる」と見解を表明している。
その際、文在寅・現大統領は、大統領側近として盧武鉉氏の考えに同調していた。労働問題を得意とする弁護士だった文氏は、民情首席秘書官として主に司法関係の政策課題を担当。政権のブレーンとして、日本への補償請求を検討する「官民共同委員会」に関与していた。
この委員会は、元慰安婦、原爆被害者、サハリン残留者の個人請求権は失われていないとしたものの、元徴用工については65年の日韓協定を踏まえ日本政府へは追加の補償を請求することはできない。つまり、文氏は「徴用工に請求権なし」と断じていたと言えるのだ。
それが、2017年8月17日、大統領就任後100日後の会見で文大統領は、日本統治時代に朝鮮半島出身者が工場や鉱山などに動員されたいわゆる徴用工に、日本の賠償を求める個人請求権があるとの「新見解」を表明したのである。
会見で文大統領は、「植民地支配から70年以上たっても強制動員の苦痛は続いている」と述べ、北朝鮮との共同被害調査の検討にも言及した。韓国政府も解決済みといっていた問題を蒸し返し、日米韓を核ミサイルで挑発する北朝鮮との対話の糸口に利用しようとするのは、国際社会の常識が著しく欠けていると言わざるを得ない。
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