30歳、人気絶頂「三浦春馬さん」がなぜ? 警察庁「自殺者データ」で読み解く世間の反応
一般社会と芸能界では異なる傾向
警察庁がネット上で公開している最も古い自殺者数の統計は1978年。2006年までは世代ごとの自殺者数を、「0~19歳」、「20~29歳」、「30~39歳」、「40~49歳」、「50~59歳」、「60歳以上」の6カテゴリーに分類している(07年からは10歳ごとに80歳代まで細分化された)。
先に集計した自殺した芸能人を、同じ6カテゴリーで区分し、人数の多い順に並べてみると、以下の表のような結果になった。
芸能界では30代の自殺者が最も多いことが分かる。だが、これは一般的な傾向とは全く違うのだ。
2015年から19年まで5年間で、自殺者の世代割合はどのようになっているのか、先に見た警察庁の資料から表を作ってみた。
日本全体の場合、一貫して60歳以上が自殺者のワースト1位を占めていることが分かる。三浦春馬さんが分類される30代は常にワースト4位で、自殺者に占める割合でも1割台だ。
2012年から自殺者は減少
そもそも市井の人間にとって、身内や身近な人々が自ら死を選んだというケースは非常に稀だ。
厚生労働省が公開している人口動態統計によると、2017年の場合、日本人の死因トップはがんで27・9%。2位が心疾患で15・3%、3位は脳血管疾患で8・2%となる。この3つのパーセンテージを足すと51・4%と過半数に達してしまう。
一方、自殺は9位で1・5%だ。日本は自殺者の多い国とされ、自殺者を減らすことが重要な政策課題であることは事実だろう。しかし、日常茶飯事として目にすることではないことも確かなのだ。
ここ30年における自殺の傾向を見てみると、まず1998年が特異な年だったことに気づく。97年の自殺者は2万4391人だったのだが、98年に突然、3万2863人に跳ね上がってしまった。
98年7月、当時の橋本龍太郎(1937~2006)首相は参院選に敗北し、小渕恵三(1937~2000)内閣が誕生した。
98年と99年は名目経済成長率がマイナス。時事通信が選んだ98年の10大ニュースのうち、2位が「完全失業率過去最高」、5位が「日本長期信用銀行、日本債券信用銀行が破たん」だった。
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