まだある「中川親方」パワハラ 弟子に差別発言、コロナ禍“ちゃんこ会”問題も
「う・ん・ざ・り」
厳しい鍛錬を積まねば生き残れないのが角界だ。激しい稽古が行われていれば、そうした怒声が響くことも何ら不思議はない。しかし、事情を知る相撲協会の関係者はこう声を潜めるのだ。
「実は報道されている以上に、聞くに堪えない暴言が日々、繰り広げられていました」
それが冒頭に紹介した音源である。
「今年、部屋の力士が雑務で小さなミスをしたことで親方に呼び出され、説教をされた時のものです」(同)
その音源はこう続く。
中川 お前いい加減にしてくれよ、マジで。本当ウザいんだよ!(中略)もう障害者丸出しなんだよ!
弟子 はい。
中川 おい。ここ養護学校じゃないんだよ!
弟子 はい。
中川 舐めんなよ、コラ。
弟子 はい。
中川 お前なんか普通すぐクビ! どんな態度とってんだ、俺に対して。(中略)養護学校行ってこい。
中川 うんざりだ。う・ん・ざ・り。
常識を備えた大人とは思えない、口に出すのも憚られる差別的な言葉の数々。毎日の稽古で心身を鍛えられている弟子もさすがにショックを受けたという。
この協会関係者が続ける。
「親方が自身の弟子をこのように言うことは日常茶飯事だったそうです。こうした暴言が続き、この音源も今年、協会窓口に提出されています。また、中川親方は他にも、稽古の指示をする時や食事の時に、弟子を“アホ1号”“アホ2号”と呼ぶことがありました。LINEで弟子に指示を出す際も、同じ呼び方をしていたようです」
無論、笑わせてなごませようというのではない。なぜ、かような差別的発言を親方は繰り返していたのか。
後援会関係者が言う。
「中川親方は弟子たちを見下していて、汚い言葉を使って罵ることはしょっちゅうでした。弟子からは、春日山親方の方がよかったという声も聞かれていたくらいです」
とした上で、中川部屋の“特殊性”を指摘する。
「普通の部屋では、親方が実家を訪問するなどして、見初めた力士を熱心にスカウトします。すると、弟子に対し深い愛情が生まれるし、その分、弟子も親方に信頼を置く。ただ、中川親方はいわばピンチヒッターのような形で部屋を継いでいるため、中川部屋は旧春日山部屋時代から在籍している力士だらけでした。ゆえに、師弟間の心の絆が他の部屋に比べ、弱かったのではないでしょうか」
だからといって、このような差別発言やパワハラが許されるはずもない。
さらに、弟子たちを困惑させたのは、親方の暴言・暴力だけなのかといえば、さにあらず。
先の協会関係者によれば、コロナ禍での中川部屋の対応も大きな問題を抱えていたというのだ。
「3月の春場所でのことです。大阪府池田市の旅館に滞在していた中川部屋の面々は親方の号令で連日のようにタニマチらを呼んでのちゃんこ会を開いていました。会費は5千円。後援者だけでなく、地元の人も呼び、一度に20名ほどは集まっていたはずです。まさに3密。その“売り上げ”は親方の懐に入っていた。このちゃんこ会は例年開かれていたようですが、コロナが流行してもやめなかったのです。弟子たちは感染リスクに怯えていました」
当の旅館の担当者に“ちゃんこパーティー”について聞くと、
「力士の皆さんが寝起きしている30名くらいは入れる大広間でちゃんこ会が開かれていました。今年はコロナの影響で昨年、一昨年より少ない回数でしたけど、会は開かれ、後援者がいらっしゃっていた。買い出しから調理まですべて力士の皆さんがやっていますので、我々はノータッチです」
この時期、協会からはタニマチとの会食などを控えるよう各部屋に通達がなされていた。それを平気で無視した格好で、金のためならコロナのリスクなどナンのその、というわけである。
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