「愛の不時着」大ヒットの立役者、脚本アドバイザー告白…私は北VIPのSPだった

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話し方を一番よく生かしていたのは?

「台本に書かれた言葉遣いも、北朝鮮方言としてはまともに再現されていなかったようです。方言は結局『イントネーション』と『アクセント』で決まりますが、ぎこちなさが残っていたように感じました」

「一例として“はいはい、そうでしたか?(ネ、ネ、クレッスムニカ?)”という台詞がありますが、咸鏡道(ハムギョンド)、平安道(ピョンアンド)、いずれの地方でもそのような言葉を使いません。現場に北朝鮮方言の先生たちが訪れ、北朝鮮の話し方を一つ一つ教えたはずなんでしょうけれど……」

「それでも、話し方を一番よく生かしていた端役は大佐の妻であるマ・ヨンエ(キム・ジョンナン役)とされています。主人公のリ・ジョンヒョク(ヒョンビン)も平凡な平安道の口調で、男らしくて頼もしくうまく描かれていると評価は高いです」

――改めて、クァク監督の経歴をざっと教えてください。

 1968年、北朝鮮の平壌で生まれ、平壌演劇映画大学で映画演出を専攻。日本との縁は1990年代初頭にさかのぼる。1991年に大学を卒業した後に北朝鮮文化省傘下の国営「朝鮮映画輸出入社」に輸出入と指導員担当として勤務。その間に、日本からのオーダーで北朝鮮映画「懲罰」の一部シナリオを担当した。 北朝鮮が注文製作方式で映画を作ったのはこれが初めてのことだった。

 会社を辞めて1993年から軍生活を始め、2001年の退役当時まで朝鮮人民軍護衛司令部の軍官として主席宮で勤務。

 北朝鮮のトップクラスの指導部を警護し、彼らの一挙手一投足を至近距離で観察した。もちろん、2000年の金大中韓国大統領と金正日総書記の首脳会談、「6・15南北共同宣言」合意も見守った。

 特に護衛司令部にいた時、主席宮の中で警護をしたため、どんな言葉が行き交うのか仕方なく聞くようになった。金総書記とその後妻、高英姫(金正恩の実母)を仲立ちした許宗萬議長をはじめ、朝鮮総連幹部と北朝鮮指導部との関係もよく理解している。

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