マッチング男女の「ちょっと怖いけど大丈夫」…コロナ流行下で一時の快楽に
カピバラのリアリズム
──確かに、カピバラの写真から悪い人を想像するのは難しいですよね。プロフィールの本文はどうするんですか?
百太郎:こっちは割とこだわります。原文を見てください。
──どれどれ……。「暇つぶしだけじゃなく、Hな関係だけじゃなく、大人の関係を希望です」。えーと、なんですかこれは?
百太郎:気になるでしょう? 「これってどういうこと?」って聞いてくる相手はイケるんです。そもそも「Hな関係だけじゃなく」と書いてあるわけですから、いつの間にか、実際に会えばHな関係があることは話の前提になっている。
──うわー。黒い一休さんみたいな悪知恵だ。
百太郎:こうしてマッチした相手のうち5分の1くらいは会えますから、あとは東急(以下略)です。会話は鮮度が命で、メッセージのレスポンスが10分開くのはNGですね。とにかく即レスでポンポンいく。会うのも「今週末」とか、そのくらい日程が近くないとダメです。
──女性の側も、寂しかったり暇だったりしてマッチングアプリをやっているんでしょうから、レスが早いのはいいんでしょうね。
百太郎:待ち合わせてから円山町に直行するのも、相手にじっくり考えさせないためです。イケメンだったらホテルの前に食事を挟んでも大丈夫だろうけれど、僕の場合はそんなことをすれば成功率を下げるだけ。不利な場所では戦わないんですよ。
汎用ユニットはよく振られる
──ところで、いよいよ百太郎さんが実際に会った相手の写真を見せてもらっていますが……。なるほど。隅田川のイチローが狙う『東カレ』モデルみたいな方は誰一人いませんが、明らかな不美人もゼロです。百発百中とすれば、こりゃすごいな。
百太郎:しかも、大卒でそこそこ普通の会社員なんですよ。この32歳の子なんか、なぜか社員証の写メを送ってきてくれたんですけど、○○○ロジスティクスっていう、某総合商社の子会社勤務なんです。
──ほんとだ。しかも、見た目はどう見ても普通です。なに考えてるんだろう……。
百太郎:その「普通」にポイントが隠れていそうです。これは僕が意識的に狙ったわけじゃないのですが、女性の顔写真をずらっと見て、気付くことはありませんか?
──個人的な印象ですが、外見のよしあしとは無関係に、量産型汎用ユニットやNPC(ノンプレイヤーキャラクター)っぽい無個性な印象を受けます。
百太郎:その通りなんですよ。すごく無個性なんです。
──冷静になって顔写真をよく見ると、付き合いたいとか結婚したいとは思えない人たちですね。外見はあくまでも「普通」なのに、一緒に食事をしても旅行に行ってもつまらなさそう。お金や時間をかけてまで一緒にいたいという内面的魅力を感じない。不思議だ……。
百太郎:はい。実際に彼女たちに話を聞くと「よく振られる」っていう人が多いんです。しかも片思いで振られるんじゃなくて、一応は男性と付き合って、2~3回デートしてから振られるパターンが非常に多いと。マッチングアプリで僕と会う理由も、「遊びたかったからだけど、いい人だったら恋愛や結婚したいなあ」という、目的が絞りきれていない感じです。
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