三浦春馬さん訃報で三吉彩花さん、生田絵梨花さんへのSNS誹謗中傷を考える

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

木村花さんの一件があった直後なのに…

 三浦春馬さんの突然の死を関係者はなかなか受け止められず、そんな中で、SNSなどでの容赦ない誹謗中傷が展開されている。そこに潜む病理とは何なのか……。徳光正行が綴る。

 ***

「恥を知れ」とは大妻学院の創設者である大妻コタカさんの言葉です。さらに「これは決して他人に言うことではなく、あくまでも自分に対して言うことです。人に見られたり聞かれたりした時に恥ずかしいようなことをしていないかと、自分を戒めることなのです」と続けたそうです。

 新型コロナ禍においての鬱憤晴らしのように展開されるSNSなどでの誹謗中傷を見るにつけ、「この言葉この一文が多くの人に響けば良いのに」と思ってしまいます。

 最近ですとやはり、三浦春馬さんの死後、関係のあった方々の行動や言動に対しての誹謗中傷を見るにつけ、この言葉この一文が頭によぎります。しかもそれがうら若き女性歌手や女優に対して行われているのが残念でなりません。

 テラスハウスに出演し、自死を選んでしまった木村花さんと同世代の方々に罵詈雑言は向けられており、語弊があることを承知で言いますが、木村さんの死に対してまったく学ばずに、さらなる犠牲者を出してもいいのか? と問いたくなってしまいます。

 今回、具体的には、三吉彩花さん、そして生田絵梨花さん、それぞれに対してのものに焦点を当てたいと思います。

 三吉彩花さんはかつて三浦春馬さんと交際報道があった方です。かつてと言っても、報道があったのは今からおよそ2年も前のこと。その後お別れをしたそうですが、三浦さんの死後、彼女のインスタグラムには「お前のせいだ」「春馬くんの死に責任を感じないのか」などの心ないコメントが寄せられたそうです。

すぐに発信してもしなくても許されない沼

 ただでさえ、元恋人の死で気を落としているであろう三吉さんの心の傷に、塩を塗る行為がされたわけですね。書き込んだ方々は、その愚行によって亡くなられた三浦春馬さんが喜ぶとでも思っているのでしょうか? いやこれは単なる憂さ晴らしの類でしょう。

 さらに本当のファンの方なら、そんなことはしないはずだと思っております。「三浦春馬が死んだ、そういえば三吉彩花と付き合ってたな。別れたあいつにも原因があるはず。じゃあ、叩いてやろう」くらいの短絡的思考で行動に移しているように見て取れますね。

 もしも、もしもですよ、失恋が遠因だとしても、彼女のせいというわけにはなりません。男女の好いた腫れた の末の別離に、100%の被害者も100%の加害者もいないというのが私の持論であります。彼らの関係や別れた理由は彼ら自身にしかわからないはずですし、ここは憶測が及ばない域ではないでしょうか?

 ただ数年前に交際していただけで、「すぐに哀悼の言葉はないのか? 謝罪はないのか?」と言葉を投げかけるのはいかがなものかと。もしすぐに彼女がSNSで言葉を発信したら、「元恋人が亡くなったのによくすぐ書き込めるな。薄情者、売名行為」などといった、汚い言葉を匿名で投げかける、「ネット上の輩」 も出てくるのでしょう。

 心理学もなにも学んでいない私ですが、前者の誹謗中傷を書く人も後者のそれを書く人も同一人物ではないかもしれませんが、精神構造にさしたる差異はないように思えます。

 そして、かつての大切な人を失った三吉彩花さんは後日、「毎日しっかりと 過ごしています。ただ、もう少し時間をください」「何も整理できていなくて。ごめんなさい」と懸命に言葉を振り絞って自身のインスタグラムで発信しました。

 その行為を見守り、励ますことが周りの努めではないでしょうか? 適切な表現ではないかもしれないですが、今回彼女を取り巻く環境の中で起こってしまった不幸な出来事も1つの糧として、表現者としてさらなる高みを目指して欲しいと願うばかりです。

次ページ:深い悲しみの中歌いあげた歌手と比較されて…

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。