コロナ感染報道のカゲで…金与正、女帝へのカウントダウン、建国以来の人事敢行
米国と対決のため全面的に人事を行った直後に…
金正恩政権では、2008年に軍将官の大きな交代人事を行ったのがこれまでの最高記録でしたが、その時でさえ35人ほどでした。しかし、今回は少将以上の88人が新たに交代しています。
北朝鮮にも人事にルールがあります。いつでも更迭・任命できるのは独裁者の裁量ですが、それでも4月15日の太陽節(キム・イルソンの誕生日)や2月16日光明星節(キム・ジョンイル誕生日)などの国家記念日に合わせるか、もしくは事案が急を要する場合には、内部的に人事措置を行います。
4月11日に実施されたのは17人の異動。これは4月15日に合わせたものだとしても、88人だった5月23日、20人の中央党高位級幹部を入れ替えた6月7日には、いかなる特別なきっかけもないのです。
その一方で、2月29日の人事の場合は、金日成高級党学校をはじめとする幹部養成機関から巨額の賄賂を受け取り、学生を大学に裏口入学させたイ・マンゴンとパク・テドクの不正事件が起きたすぐ後でした。この一件はスピードが求められたわけで、慣例やルールにとらわれることなく行われたと言えるでしょう。
しかしながら、この3カ月間の高位級幹部の入れ替えはただ事ではありません。ここまで急いて側近を全面的に交代させたのは誰だったのでしょうか。
金正恩が関与していないことは明らかです。金正恩は昨年12月28~31日まで行われた党中央委員会第7期5次全体会議で、今年はアメリカとの対決を準備し、適材適所で自分を補佐する幹部を揃えるべく、全面的に人事を行いました。
ところが、数カ月も経たないうちに、また、アメリカとの対決が特段発生していない中で、これだけの人間を交代させる理由がありません。金正恩に反発する大きな反体制組織を摘発し、関係者を全員処罰した、ある意味で非常事態でなければ考えられないことです。
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