大統領の盟友・ソウル市長の「セクハラ自殺」 韓国左派で相次ぐ女性スキャンダル
勝負は下駄を履くまで分からない。
「K防疫の勝利だ」
目下、韓国は新型コロナウイルス対策に成功したとして、「KOREAN防疫」、すなわちK防疫と称し、自国の感染症対策は世界に冠たるものであると自画自賛している。
しかし、コロナ死者の数でいえば台湾のほうが圧倒的に少なく、第2波をどう凌(しの)ぐかという問題も残っている。コロナ対策の「勝者」は、何年後かに振り返って初めて明らかになることであろうし、そもそも防疫を「勝敗」で語っていいのかどうかも疑問である。ましてや「国力」がウイルス対策だけで計れるものでないことは言わずもがなだ。
今、韓国は窮地に立たされている――。
今月に入って、どうにもこうにも「隣近所」が騒がしい。7月1日、中国が「香港国家安全維持法」を施行して民主派弾圧を強めたかと思えば、同月10日、今度は韓国の青瓦台(大統領府)近くの山中で1体の遺体が発見された。朴元淳(パクウォンスン)ソウル市長(64)が、
〈全ての人に申し訳なく思う〉
と遺書に記し、自殺したのである。その2日前、彼の秘書を務めていた女性が、
〈継続的に猥褻行為やセクハラに遭った〉
〈朴市長はテレグラムなど携帯電話のメッセンジャーを使ってセクハラメッセージを繰り返し送ってきて、望まない身体接触を頻繁にしてきた〉
として、朴氏を刑事告訴していたのだが、この一件が衝撃的で且(か)つ「韓国の窮地」につながる背景にはいくつかの要因がある。まず、
「朴市長は文在寅政権与党の『共に民主党』所属で、有力な次期大統領候補だったんです」
と、韓国ウォッチャーが説明する。
「文大統領は、自分が退いた後も左派政権を続けることで、政界への影響力保持を画策しています。そんな折に『ポスト文』が“セクハラ自殺”。文政権のイメージダウンは避けられないでしょう。しかも文大統領と朴市長は、司法研修院同期の盟友でしたからね。なお、朴市長は自身の下着姿の写真を送り、女性に同じ姿で写真を撮って送り返すように要求していた……。何とも気持ち悪いセクハラの詳細が明らかになっています」
また、朴氏のキャラクターとセクハラのギャップも、「窮地」に多大な影響を与えているという。
「人権派弁護士である朴市長は、女性の人権を守るシンボルとして知られる人物でした」
こう解説するのは龍谷大学の李相哲教授だ。
「1993年、当時まだ『セクハラ=罪』という認識が薄いなか、彼は被害女性の弁護活動を行い、6年の裁判闘争を経て加害男性の罪を明らかにした。フェミニズム団体からも表彰され、女性の支持者が多いことが朴市長の強みでした。そんな彼がセクハラを行っていた。被害女性の支援団体によれば、朴市長のセクハラは数年間継続的に行われ、被害女性も複数います」
加えるならば、今年4月には同じく共に民主党所属で、文大統領の側近である呉巨敦(オゴドン)釜山市長(71)が、やはり女性へのセクハラで辞任している。
さらに言うと、一昨年には安煕正(アンヒジョン)忠清南道知事(55)も性暴力とセクハラの告発を受けて辞任。その後、懲役3年6カ月の判決を受けている。彼も次期大統領候補のひとりと目され、共に民主党の政治家だった。
つまり、左派与党の重要人物が、次から次に女性蔑視の事件を巻き起こしているのである。一体なぜ、文氏の周囲で立て続けにピンク醜聞が持ち上がるのか。
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