コロワイド会長が32億円騙し取られた「M資金詐欺」 過去には朝青龍も被害に
昭和の時代から「GHQの接収資産」などと称して融資話を売り歩く輩は後を絶たなかった。その古典的詐欺が令和の世でも生き長らえているとは驚くばかりだが、あまつさえ被害者が「大戸屋」買収を目論む“ワンマン会長”だというから、開いた口が塞がらない。
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大戸屋は買収に反発
〈個人的に張り倒した輩が何人もいる〉
〈どう生きて行くアホ共よ〉
3年前、買収した企業の社員を公然と罵っていた経営者は、時を置かずして“金字塔的損失”を被ることとなった。何となれば、巨額の「M資金詐欺」に“コロッ”と騙されてしまったのである。まさしく「人を呪わば穴二つ」を地で行くような展開ではあるが、その前にまず、眼前で繰り広げられている事態をおさらいしておこう。
外食大手の「コロワイド」が、定食チェーン「大戸屋」の創業家から約19%の株を取得したのは昨年秋。今年4月にはコロワイドが取締役の刷新を求めて株主提案すると発表したものの、大戸屋側は反発。6月25日の大戸屋ホールディングス(HD)の株主総会では、経営効率化の観点からコロワイドが唱えたセントラルキッチンの導入ともども、提案が退けられてしまう。
コスト削減の合理化より店舗ごとの調理にこだわるのが“大戸屋らしさ”なのだから当然だろうが、戦いはこれで終わらなかった。今月9日、コロワイドは大戸屋HDに対し、株式公開買い付け(TOB)を実施すると発表したのだ。
「買い付け価格は1株3081円としており、現在19・16%の保有比率を51・32%まで引き上げて子会社化を目指しています。もっとも大戸屋側は『一方的で突然』『株主総会で示された意思を軽視するもので遺憾』などとコメントしており、敵対的TOBに発展する可能性が濃厚となってきました」(全国紙経済部記者)
買収を目論むコロワイドは2020年3月期の売上高が約2353億円、対して大戸屋は約246億円。さながら巨象とシマウマの対峙と映らなくもないが、その巨象を実質的に率いるのは、12年に社長職を退いた蔵人金男(くろうどかねお)会長(72)である。
「蔵人会長は高卒後、父親が経営していた前身の会社に入り、1977年には逗子市に第1号店『手作り居酒屋 甘太郎』を開業します。83年に社長となり、02年には東証1部上場を果たしました。以降、経営不振に陥った有名ブランドをM&Aで次々と傘下に収め、事業を拡大していったのです」(同)
たとえば05年には回転寿司の「アトム」、そして翌年はステーキ店「宮」、さらに12年にはレックス・ホールディングス(当時)を連結子会社化して「牛角」「しゃぶしゃぶ温野菜」を手に入れた。また4年前には「フレッシュネスバーガー」の運営会社も傘下に収めている。
「現在の野尻公平社長は証券会社出身。蔵人会長からM&Aの才覚を買われて社長に据えられたと言われており、会長のワンマンが続いている状況です」(同)
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